建物の屋根はアクセスしやすく、土台も安定していますが、どうしても発電量は小さくなります。

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アクセスのしやすさ・メンテナンスのしやすさも重要 / Credit:Canva

一方で、市街地から遠く離れた広大な空き地や農地、山岳部などはどうでしょうか。

確かに多くの電力を生成できるでしょう。

しかし、アクセスしづらく、地形の起伏が激しいため、設置工事(土木工事・基礎工事)の初期コストが高くなります。

また複数の所有者から土地を買い取ったり、景観を損なうことへの配慮も必要だったりします。

このように考えると、大量のソーラーパネルを設置するのに適切な場所は、なかなか見つからないように思えます。

しかし、スイスの新興企業「Sun-Ways」は、これまで誰も思いつかなかった「適切な場所」を発見しました。

彼らは、スイス中に張り巡らされている「線路のレールの隙間」に、ソーラーパネルを設置しようと考えたのです。

「線路の隙間にソーラーパネルを設置する」というアイデア

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スイスのSun-Ways社が目を付けたのは、線路の隙間 / Credit:Sun-Ways

世界中の線路の間には、100万km2以上のスぺースがあり、ヨーロッパだけを見ても、26万km2以上のスペースがあります。

2021年以来、Sun-Ways社は、この線路の隙間を有効活用し、ソーラーパネルを設置して電力を生み出すプロジェクトを推し進めてきました。

なぜなら、線路の隙間は、ソーラーパネルを設置するのに非常に適した場所だからです。

まず、すべての線路において電車がその上を通るのはほんの一瞬であり、設置されたソーラーパネルには絶えず太陽光が降り注ぎます。

また設置も非常に簡単です。

ほぼすべての線路で、レールとレールの間の幅は一定であり、それらの上を列車が通過しても問題ないほど安定した土台が備わっています。

この隙間に設置される各パネルは、1m×1.7mの大きさであり、一般的なレールの間に収まるよう設計されています。

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専用マシンにより、比較的簡単にソーラーパネルを設置できる / Credit:Sun-Ways