今後出てきそうな悪しきテレワークマナー

筆者が懸念する「今後出てきそうなテレワークの悪しきマナー」は次のようなものだ。

Webカメラの解像度は1080p以上
快適なコミュニケーションのために光通信を使う
ZOOM飲みでは、部下は上司より高いお酒の銘柄は飲まない
カメラに机と椅子以外はの映像が写り込んではいけない

この他にもきっと、こちらの予想斜め上のクレイジーマナーが飛び出してくることだろう。本質的な思考ができる人にとっては、このような枝葉末節な話は笑い話かジョークとして受け取る。だが、一部のピュアで規則を愚直に守ることしか取り柄がなく、でも権力を持っている厄介な人…会社内でいえば「老害上司的ポジション」の人が真に受けてしまうと、喜劇が悲劇化してしまう。これは笑えない。

悪しきマナーには適切なラベリングをせよ

このような世の中を増々生きづらくする傾向を止めるには、現象や物事のラベリングが重要であると思っている。

例を上げたい。筆者は「万引(まんびき)」という呼称は良くないと思っている。万引は店舗側にとっては潰れるかどうかの瀬戸際となる、重大な損害を与える憎むべき犯罪だ。「窃盗」といえば犯罪の重大さが伝わるのに、「万引」というとカジュアルで、若者や老人のデキゴコロくらいのノリに聞こえるのではないだろうか。だから筆者は「万引」ではなく「窃盗」にラベリングを変更すべきと考えている。

ラベリングの効果はバカにできない。たとえば近年になって暴走族が減ったのは、本質的に青少年の暴力性が下がったというよりは、暴走行為に対する世間的なラベリングの変化が大きいと考える。「珍走団(ちんそうだん)」などとカッコよくないラベリングで「暴走ってダサいよ」という風潮で抑止できているんじゃねえかな。

この「テレワークマナー」も、マナーなんて呼ばないようにしてほしい。もちろん、本当に必要なマナーである「声が聞き取りやすいようにしゃべりましょう」というものなどはマナーとラベリングして差しつかえない。だが、「上司がログアウトするまで待機せよ」といった昭和感・老外感漂う呼びかけを「マナー」と同列に扱ってはいけない。

聞き取りやすくしゃべりましょう。
上司がログアウトするまで待ちましょう。

前者は「マナー」だが、後者は「老害マナー」とでも呼べばいい。老害認定されたくない人は、嘲笑の対象になることはしないだろう。

労働生産性を高めるためのテレワークで、消耗する人を出さないためにも適切なラベリングが望まれる。

文・黒坂岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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