――人気エリアの家賃は安くないですね。日本人駐在員ファミリーはどれくらいの家賃の家に住んでいるのでしょうか?

高野:私の体感ですと、家賃が安めの方々は家賃3,000から5,000シンガポールドル(約36万円~60万円)までの家に住んでいる印象です。そして、駐在員の全般的な標準が5,000から6,000シンガポールドル(約60万円~72万円)でしょうか。多くの日本人が満足できるレベルの家を求めると、9,000シンガポールドル(約108万円)くらい出さないと難しいでしょう。

――安い物件を借りている方々は、どういった所に住んでいるのでしょうか?

高野:特定のエリアというより、シンガポール全域に散らばっている印象です。以前は、MRTの駅が近くに無いと不便と思っている方が多かったですが、いまは、バスが通っていれば十分という感じになっています。シンガポールはバスが発達していますし、Google mapがあればバスも使いやすいですから。

タンジョンパガーにあるコンドミニアム「Icon」

シンガポールの不動産を買う選択肢は?

――コンドミニアムを買う方もいらっしゃいますか?

高野:居住用物件を買う場合、シンガポール人であれば購入価格の3%の印紙税で住むのですが、外国人や法人が買う場合、投機抑制策として購入価格の60%の印紙税がかかります。ですから、コンドミニアムを買って売却益を狙うというのは現実的ではありません。60%値上がりしないと元を取れないからです。

――日本人で物件を購入して住んでおられる方もいらっしゃいますか?

高野:有名企業の創業家でシンガポールに住んでいる方々は、カジノリゾートも並ぶセントーサ島の一戸建てを購入して住んでいらっしゃいますね。

――高野社長はシンガポールに30年住んでいらっしゃいますが、この30年間で、在シンガポール日本人の立ち位置について、変化を感じますか?

高野:以前は日本人というと「金を持っている人達」と見られたものですが、今では、貧乏人扱いされてしまいますから、日本の経済的地位がだいぶ落ちたと感じますね。そんな中、シンガポール在住日本人は工夫して切り詰めながら生活しています。

インタビューを終えて