北海道と本州では、実はそれぞれに生息していない動物というのがいます。
本州を北限とするものと、北海道を南限とするものがそれぞれいるという事です。
これは北海道と本州を隔てるものがあると考えられており、その境界線を「ブラキストン線」と呼ばれています。
そこでここでは、ブラキストン線がどういう境界線なのか、どのような動物がブラキストン線によって生息しないようになっているのかを解説します。
目次
「ブラキストン線」とは
・北海道と本州の間にある見えない境界線
・ブラキストン線が発生した理由は?
北海道を南限とする動物
・エゾヒグマ
・キタキツネ
・他にも北海道を南限とする動物はたくさん!
「ブラキストン線」とは
まずはブラキストン線がどういうものなのかを解説していきます。
北海道と本州の間にある見えない境界線
本州に生息するのに隣接した北海道には生息しない生物、逆に北海道には生息しているのに本州には生息していない生き物が存在します。
それぞれ生息地の分布境界線となる見えない線があるという考えによって生まれたのが「ブラキストン線」です。
正確な線こそ見えませんが、北海道と本州の間には津軽海峡がありますので、ブラキストン線はこの津軽海峡を東西に横切っていると考えられています。
そこから、ブラキストン線は「津軽海峡線」と呼称されることもあります。
ブラキストン線が発生した理由は?
ブラキストン線の存在を考え付いたのは、江戸時代末期から明治時代初期にかけて日本に滞在した「トマス・ブラキストン」という人物です。
この人物は貿易商として函館で活躍していましたが、動物学者として現地の動物の研究も行っていました。
その研究の中で、北海道と本州で生息している動植物が違うことに気付き、その研究結果を発表しました。
この研究者である「トマス・ブラキストン」にあやかって、津軽海峡による分布境界線を「ブラキストン線」と命名されました。
北海道を南限とする動物
ブラキストン線により本州には生息しない、つまり北海道を南限とする動物をまずはご紹介します。
エゾヒグマ
エゾヒグマはクマ科クマ亜科クマ属に分類される動物です。
ヒグマの仲間は北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部に幅広く生息していますが、エゾヒグマが生息しているのは北海道のみです。
オスの成獣は体長2m前後、体重も約250kgまで大きくなるのですが、現在発見されている最大個体のものになると500kg越えになります。
その巨体は、日本に生息する陸上動物としては最大でもあります。
主に北海道の森林や原野に広く生息しており、雑食性で木の実から腐肉まで何でも食します。
キタキツネ
キタキツネはイヌ科キツネ属に分類される動物です。
北海道、樺太そして樺太周辺の島にも生息しています。
生息地では、平地から高山まで広く分布しています。
本州のキツネに比べてやや大きく、丸っこい体をしています。
他にも北海道を南限とする動物はたくさん!
また、朝鮮半島やシベリアにも生息する「シマエナガ」も日本では北海道を南限とする鳥です。
正面から見ると(●▲●)とした顔や、首を傾げた姿がかわりらしいとSNSでも近年人気が高まっています。
他にもエゾシカやエゾリスなど、同じシカやリスに分類される動物であっても北海道のみに生息している種類が多々あります。
エゾシカもエゾリスも北海道が南限です。
ちなみに「エゾ」とは漢字で「蝦夷」と書き、これは北海道の古称となっています。
北海道を南限とする動物の中には、北海道にしかいないという意味でエゾの名を冠する動物も多いのが特徴です。