ヤマト運輸を騙った詐欺メールが非常に精巧だと話題になっている。詐欺メールは昔からよくあるが、近年、その精巧さは格段にレベルが上がっており、真偽を見分けるのが難しくなっている。荷物が届く予定がない場合など、まったく身に覚えがなければ疑いを挟む余地もあるが、頻繁に通販サイトで買い物をしている人であれば、つい詐欺メールを信用してしまいかねない。防犯アドバイザーに、詐欺メールを見分ける方法を聞いた。

 X上に、あるユーザーが「ヤマト運輸の詐欺メールのレベルが上がってる」との文面とともに、不在配達を知らせるメールの写真を投稿した。その写真は、「荷物が配達できなかったお知らせ」とのタイトルで、「受け取りの日時や場所をご指定ください」と記載されている。さらにメールを読み進めると、「再配達を依頼する」というボタンがある。おそらく、これをクリックするとフィッシング詐欺サイトに飛ぶとみられる。

 ヤマト運輸の公式サイトでも、同社を装った迷惑メールやセキュリティに必要な認証番号等を聞き出そうとする電話があるとして、注意を呼び掛けている。直近では、「クレジットカード情報を入力」させようとする手口が目立っているという。

詐欺メールの見分け方

 あまりにも精巧なメールだが、見分ける方法はあるのだろうか。防犯アドバイザーの京師美佳氏に話を聞いた。

――ヤマト運輸を騙った詐欺メールが話題になっていますが、このような詐欺メールは最近増えているのでしょうか。

「特にコロナ禍以降、フィッシング詐欺が増えていて、さらに携帯電話番号のSMSに送るスミッシング詐欺も増えているのが現状です。コロナ禍で外に出られない時期に、ネットを使って仕事をしたり、買い物する方が多くなり、それに伴って詐欺メールも増えました。その後もネット利用は減らなかったことから、詐欺メールも増えているといえます。

 また傾向としては、ヤマト運輸など身近で覚えのあるメールなど、URLをクリックしないといけないと思わせる内容で、クリックした人からIDやパスワードを抜き取るという詐欺が多くなっています。なかにはクリックするだけでウイルス感染するものもあるので、いずれにしてもメールに書かれているURLはクリックしない、電話番号にも電話しない、ということが重要です」

――詐欺メールは、ヤマト運輸に限らず、実際にそれぞれの業者が顧客に宛てたメールをコピーして悪用しているようで、極めて精巧です。どのようにすれば見分けられるでしょうか。

「まず、PCであればウイルスソフトを入れている方が多いと思いますが、常に最新の情報にアップデートしてブロックを強化することが大切です。それでも一定数はすり抜けてきますので、企業からのメールは、覚えのある内容であっても、URLなどは決してクリックしてはいけません。たとえば、『転送』などのボタンを押すと宛先に相手のメールアドレスが表示されるので、怪しいアドレスになっていないか確認するといいでしょう。詐欺メールのほとんどは、おかしなアルファベットの羅列などになっているので、見分けることができます。

 また、スマートフォンなどに送られてくるスミッシング詐欺メールの場合、今は“詐欺対策アプリ”という無料で使えるアプリがあるので、ダウンロードしておくといいでしょう。さらに、300円ほどでプレミアムバージョンもあり、詐欺メールをすべて振り分け、迷惑電話も拒否してくれます。お年寄りや、あまりスマホの取り扱いに明るくない方などにはおススメです。ちなみに私が使っているのは『Whoscall』というアプリで、詐欺電話の番号が25億個ほど登録されていて着信を拒否してくれ、詐欺メールも100億件ほど登録され、迷惑メールとして振り分けてくれます。お子さんやお孫さんから、ご高齢の方にプレゼントするのもいいかなと思います」