もちろんこれは大ざっぱな概算なので端数は合わないが、税収中立に計算したので、国民負担(税+社会保険料)は今と同じである。違うのは図のように逆進性が大きく世代間で不公平な社会保険料を、高齢者も同率で負担する消費税に代替することだ。

維新 音喜多氏の資料

消費税にも逆進性はあるが、10倍以上の差がある社会保険料に比べれば微々たるものであり、世代間の不公平はまったくない。所得再分配は負の所得税でやればよい。

付加価値税20%は世界の常識

このプランの最大の弱点は、今のところ消費税を増税しようという党がないことである。これは消費税が竹下内閣や細川内閣や橋本内閣を倒した呪われた税だというトラウマがあるのだろうが、これは偶然だった。

EUでは付加価値税(VAT)の税率は20~25%が普通であり、それが手厚い社会保障の財源になっているので、巨額の国債を毎年発行する必要はない。日本の財政が不安定になる最大の原因は、超高齢化で社会保障の赤字が急激に膨張するのに、その財源がないことだ。このまま放置すると、そのうち医療・介護は崩壊してしまう。

必要なのは、社会保険料を消費税で代替する税制改革の合理性を国民に説明し、合意を得る指導者が出てくることだ。少なくとも自民党総裁選では河野太郎氏がそれを試みたが、選挙では惨敗した。野党はまだ消費減税などと言っているので、増税の合意ができるのは10年ぐらいかかるかもしれないが、それまで待っていると社会保障は取り返しのつかない状態になる。