値上げしても『カリッとポテト』を継続すべき?

 今回のメニュー切り替えをめぐっては、素材や調理工程がほぼ同じであるにもかかわらず新商品のほうが価格が高くなっているため、事実上の値上げではないかという見方も出ている。原材料費の高騰を受けて外食チェーン各社が相次ぎ値上げに動くなかで、サイゼリヤは値上げをしない方針を打ち出すなど、外食チェーンとしては異例の試みも消費者から好感を持たれる要因となっているが、そのような意図はあると考えられるのか。

「もし仮に1品あたりの総容量が減っているのだとすれば、事実上の値上がりということになるでしょうが、新商品のほうが量が多いか少ないのかどうかは、わかりません。また、ハッシュドポテトはジャガイモをマッシュするという工程が入ってくるため、調理工程が増える可能性もありますが、『カリッとポテト』はできるだけ均等なサイズにカットして焼かなければならず、最終形態として小さなパーツがたくさん使われる料理というのは何かと手間と面倒がかかるため、トータルでみるとどちらが調理工程として労力がかかるのかは微妙なところではあります。ただ、金額の絶対的な値は新商品のほうが高くなっており、素材も同じで似たような商品でもあるため、事実上の値上げといっていいのではないでしょうか。値上げ幅はわずか数十円とはいえ、サイゼリヤは国内に1000店舗以上を展開しているため、トータルでみるとその効果はそれなりに大きくなるかもしれません。

 サイゼリヤはここ数年、国内事業については赤字が続いて利益が出にくい状況であり(24年8月期は黒字転換)、その一方で値上げをしないと宣言しているなか、粉チーズの無料提供を終了させるなど事実上の価格転嫁などを進めており、今回の件もその一環といえるでしょう。ただ、サイゼリヤのメニューは全体的にかなり安いのは確かなので、多少値上げしたところで客離れは起きないでしょうし、“数十円くらい値上げになってもいいから『カリッとポテト』を継続してほしかった”と感じるファンは少なくないのではないでしょうか。値上げしない宣言を守るために、ファンが多いメニューをやめるというのは、少し顧客志向から外れているような気もします」

 サイゼリヤの24年8月期連結決算は、中国事業が拡大した影響で純利益が前期比58%増の81億円で過去最高益を更新。売上高は23%増の2245億円、営業利益は148億円となっている。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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