政府はこども家庭庁の「少子化対策」の予算総額3.6兆円のうち1兆円を健康保険料からの支援金でまかなう方針だ。

少子化対策への拠出は健康保険法違反

この「月額500円弱」という数字はおかしい。健康保険(国保を含む)の被保険者数8000万人を分母にすると、1人あたりの負担は年額1万2000円(事業主負担を含む)である。

このような拠出金は、これが初めてではない。安倍政権の決めた子ども・子育て拠出金は事業主負担のみで料率も0.36%と小さかったが、今回の支援金は約4%。消費税の0.5%分である。

健康保険の目的は「労働者又はその被扶養者の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与すること」(健康保険法1条)だが、少子化は疾病でも負傷でもない。健康保険料から「支援金」を支出するのは、違法な目的外使用にあたる疑いが強い。