本来隻数を減らしてもクルー制を導入すべきですが、それは嫌だとダダを捏ねている。まるで糖尿病患者が、甘いもの食いたい、酒を飲みたい、インシュリンの注射も運動も嫌だと駄々を捏ねているのと同じです。

危機感がないんですよ。果たしてこんな状況でミサイル潜水艦を導入できるのか。

いつもの通り、更にいつまでに何隻、導入するのという計画すら発表されていない。例えば3隻なのか、8隻なのかでまったく、潜水艦隊の運用も変わっていくでしょう。

そんなに多くの乗組員は確保でないでしょう。個人的には現在の22隻でもまともにクルーを充足するのは不可能だと思っています。クルー制を導入すると、乗組員の負担は減りますが、2倍の数の乗組員が必要です。その手当をどうするのか。

他の艦艇や航空機の数を減らすというのも視野に入れる必要があります。果たして海幕にそのような覚悟があるのか。

おそらくはどんなに頑張っても現状の22隻体制の中で導入するしか無い。となれば潜水艦隊の運用全体を見直す必要がある。それが海自にできるのか。

また隻数、導入までのリードタイムによっては発射機やシステムを独自で開発するのか、輸入にするのかという選択も考えるべきでしょう。例えばわずか3隻のために国産開発して装備化するか。

単にキャニスターだけではなく、その他のサブコンポーネントやシステム、ソフトも開発、実証する必要がありますが、それが可能なのか。それも視野に入れるべきです。

当然ミサイルの開発も同様です。僅かなミサイルしか生産しないならば、1発あたりの開発費用も莫大になります。これまた輸入あるいは共同開発を検討すべきだと思います。

現状見る限りではイージスアショア同様に、単に新しいおもちゃが欲しいというNSCあたりのおっさんたちの願望だけで進んでいる気がします。

編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2023年11月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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