こんな小さな村でも歴史に翻弄された過去が
歴史地区に入ると道は一本だけ。まっすぐ進むとあっという間に小さな村役場のある広場に着きます。ここから見下ろせるダムは20世紀の半ばにつくられたものですが、今はグアダレストの美しい景色の一環を担っています。
<城跡から見下ろしたダム。左側の白い建物が村役場>
絶景を拝むためにお城に登るには、トンネルの真ん前にあるCasa Orduña(オルドゥーニャ家のお屋敷)の見学とセットになった共通券の購入が必要です(2020年2月の時点で4ユーロ:約470円)。
1644年の大地震の後に建てられたこのお屋敷には、村を所有する侯爵家(こうしゃくけ)に仕えていたバスク地方出身のオルドゥーニャ家が代々居住していました。寝室や書斎、台所など、調度品とともに当時の生活を垣間見ることができるのですが、お屋敷とはいえど華やかな雰囲気はなく、ちょっと何か出てきそうな暗さを感じます。
順路通りにお屋敷見学が終わると、お城に登る階段があります。お城自体は1644年の大地震で崩壊した後、1708年のスペイン継承戦争で破壊され、1748年にはまた大地震に見舞われたため、ほとんど残っていません。継承戦争時に村は焼き払われ、その後20世紀の市民戦争時にも火災に遭っています。
こんな秘境でわずかな人々がささやかな生活を送っていたというのに、悲しい仕打ちですね。なぜか現在はお城の一部が共同墓地として使われています。
<地震や戦争に遭い、あまり昔の面影をとどめていないお城>
<お城が現役だったころにはまだなかったダムが見える>
こぢんまりしたミュージアムが8軒もあることで有名
グアダレストはミュージアム村としても知られています。オルドゥーニャ家のお屋敷を含め、小さなミュージアムが8つもあるのです。旧市街の通り沿いにある民族博物館は18世紀の家を利用し、家の中や農業など昔の人々の暮らしがわかるようにうまく作られているのでオススメです。 山間のこんな不便な村での生活は、さぞ厳しいものだったことでしょう。
<オルドゥーニャ家のお屋敷には当時の調度品が残っている>
<18世紀から20世紀の村の人の生活がよくわかる民族博物館>