黒坂岳央です。
コンビニエンスストア大手3社の2024年8月中間連結決算が話題になっている。ローソン、ファミリーマートとは対象的にセブン&アイ・ホールディングスの業績不振であることが報道され、それに対してここぞとばかりにセブンたたきのコメントが殺到しているのだ。
業績不振の主要因コメントの内容は「セブンが底上げ弁当で騙したから客離れが起きた」「庶民の懐事情を理解していない高値設定が原因」といったものが踊り並んで半分炎上のようになっている。しかし、本当だろうか?
同社の決算書を見ると、営業収益は4,623億円(国内)となっており、ファミリーマートが2,575億円、ローソンが2,054億円なので依然として同業他社の営業収益を圧倒しているように見える。とても「底上げ弁当や高すぎるから客離れを起こした状況」が起きているようには見えない。
同社はこの業績不振を2つの原因として取り上げている。1つ目は海外コンビニ事業の低迷だ。特に北米のセブンイレブン事業が苦戦しており、収益の減少が全体の業績に大きく影響した。2つ目は国内事業の再編と損失計上である。イトーヨーカドーのネットスーパー事業の撤退に伴い、関連会社の事業損失が計上。これがさらなる業績の下押し要因となっているという。
決算書を見てみると、国内コンビニの営業収益は4,623億円であるのに対し、海外コンビニは46,125億円と「10倍近い」。その海外業績の低迷がインパクトになったというのが真相である。つまり、消費者の支持を得られなかったので国内コンビニの業績不振というコメントは正しくないといえる。
事実と願望をわけて考えようこの問題に限った話ではないが、事実と願望はわけて思考する必要がある。確かにセブンイレブンの弁当は消費者をミスリードさせるようなデザインになっている商品は存在するのは知っている。また、値付けも比較的高めで10年前と比べるとシュリンクフレーションを起こしていると感じることもある。