ナンバー付き400オフという淡い期待を持ったのだが……

さて、CL400ですが、発売前は一部オフロードファンからも注目されていました。というのも、エンジンが4ストローク・オフロードレーサーXR400Rをベースとしていたからです。XR400Rは、大パワーのXR600Rと軽量なXR250Rのいいとこ取りを狙って登場したモデルで、パワーと車重のバランスがよく、扱いやすくて速かったのです。しかし、国内版のXR400Rはレーサーしかなく、公道走行可のXR400Rを求める声は少なからずあったのです。CL400はスクランブラーなのでオフロードコース走行は無理だとしても、林道ツーリングなら充分行けそう、いやXR400Rのエンジンはパワフルだから結構楽しめるはず! そんな期待感もあったのです。

が、CL400のエンジンは確かにXR400Rベースでしたが、圧縮比を下げることでピークパワーは下げられ、スロットルレスポンスやトルク特性もマイルドにセッティング変更されていたのです。市街地やフラットダートで誰もが扱いやすさを感じられるような乗り味で、それは幅広いライダー層に向けたスクランブラーとしては適切なセッティングだったと言えるでしょう。

ゴールドとシルバーの2色が設定されたメッキタンク、単気筒ながら2本出しを採用したセミアップマフラーなど、CL400はスタイリングの質感のよさにも定評がありました。しかし、当時の400クラスは4気筒ネイキッドが主流で、単気筒モデルにはロングセラーのSR400が君臨していたこともあり、CL400はブレイクしませんでした。2002年には生産終了し、同年ビンテージオフスタイルのXL230が発売されましたが、こちらも3年ほどで生産終了となりました。

XL230
XR400モタード

その後、2005年にはXR400の名を冠したXR400モタードが発売されます。モタードとはいえナンバー付きXR400の登場にオフロードファンは再び湧きたったのですが、エンジンはXR400RベースではなくCL400ベースだったのです。当時はレーサースペックのエンジンを搭載したDR-Z400SMがラインナップされていたこともあって、XR400モタードもブレイクすることはありませんでした……。

DR-Z400SM

2000年からはバイクへの排ガス規制も開始され、規制対応されなかったブロンコは1999年に生産終了。排ガス規制は段階的に厳格化され、250TRは2013年、グラストラッカー(ビッグボーイ)は2017年に生産終了となり、国内メーカーのスクランブラー系モデルは不在となりました。また規制は排ガスだけでなく、ABSや自己診断機能OBD2の搭載が義務付けられ、セローやSR400が生産終了となるなど、国内メーカーのラインナップはかなり少なくなりました。

しかし、ラインナップが少なくなったことで、アメリカでは若者が乗りたくなるようなモデルを欲する声が高まり、それがレブル250誕生のきっかけとなりました。そしてレブル250が世界的にブレイクしたことで、CL250が開発されることになりました。往年のイメージを刷新して大成功したレブルのように、現在のCL像を提案したCL250/500も大成功となるか、注目していきたいところです。