ようやく仕事が終わり、ソファに腰を下ろして、ビール片手にひと休み。
…と思っていた矢先、スマホが鳴って上司から仕事の質問メールが届く。
こうした勤務時間外のメールに仕方なく対応する方は多いと思いますが、しかしこれには心身の健康を蝕む危険性があります。
米ミネソタ大学ツインシティー校(UMTC)の先行研究によると、退勤後や週末などの勤務時間外に仕事のメール応対をすると、ストレスレベルが高まり、うつ症状や燃え尽き症候群のリスクが高まることがわかっているのです。
これはスマホやPCによる遠距離連絡が容易になり、リモートワークも浸透したデジダル時代ならではの大きな弊害と言えるでしょう。
研究の詳細は2022年11月28日付で学術誌『Journal of Communication Management』に掲載されています。
目次
- 現代は「私生活」と「仕事」の境界線が曖昧
- 私生活での仕事対応は「燃え尽き症候群」につながる?
現代は「私生活」と「仕事」の境界線が曖昧
今や、私たちの社会はプライベートと仕事の境界線が非常に曖昧になりつつあります。
スマートフォンやパソコンを代表とするテクノロジーの発達により、24時間365日いつでも簡単に連絡ができるようになりました。
一見すると効率性の勝利のように見えますが、そのせいで私生活に仕事が入り込み、勤務時間外にも仕事の応対をしなければならないことが増えています。
さらにこの流れに拍車をかけたのがコロナ禍に浸透したリモートワークでした。
在宅での仕事が可能になり、通勤や朝礼、昼休憩といった会社ごとの決まった時間割がなくなったことで、多くの人が自分に合った勤務時間で働けるようになりました。
しかしこのことは同じ会社に勤めている人同士でも、働いている時間あるいは休んでいる時間がズレてしまうことを意味します。
つまり、自分が休んでいる時間帯に同僚や上司から仕事の連絡が届くようになったわけです。