近頃の若者がクルマを買う決め手は何か!?
クルマを買う決め手は何だろうか? 多くの人は、 パワートレーンやハンドリング性能など、運転して楽しいかどうかを重視するのではないか。しかし、若い世代はこれらの要素にそれほどこだわっていないように思う。この数年で私の友人数名がクルマを購入したが、その際の決め手を聞いてみると意外な結果が返ってきた。一番の決め手はデザイン、次にコスパのよさ、走り、そして自分の生活にどう馴染むかという扱いやすさだった。今回は、若い世代を代表して、8年ぶりにフルチェンジを実施したコンパクトユーティリティ、3代目ホンダ・フリードのどんな点が若者の心をつかむのかを紹介しようと思う。
フリードは、多様なニーズに応じて2つのモデルをラインアップした。どんなシーンでも扱いやすいAIR(エアー)と、タフで力強いデザインが特徴的なCROSSTAR(クロスター)である。
エアーは全車3列シート仕様(6名&7名乗り)。グレードはベーシック仕様と上級タイプのEXがある。クロスターは2列シート(5名乗り)と3列シート(6名乗り)が選べる。また、クロスターには乗り降りをサポートしてくれるリフトアップシート(助手席)と、普段使いからレジャーや介護まで幅広く使えるスロープが選べる。スロープと聞くと、車椅子の利用者も介助者も乗り降りに不安を覚えるかもしれない。しかし、このスロープは車椅子を固定したベルトが自動的に伸縮し、安全に地上まで降ろしてくれる。操作もリモコンのボタンひとつ。筆者も体験したが、その安定性と安心感にほれた。このスロープとリフトアップシートは消費税が非課税対象となるため、エアーの最上級モデルとほぼ同価格で購入できるのもうれしいポイントだ。
パワートレーンは両モデルともに、2モーターハイブリッドシステムe:HEVと、1.5ℓ・DOHC・i-VTECガソリンの2種類が用意されており、ともにFF(前輪駆動)と4WDが選択できる。
スタイリングはジェンダーレスの雰囲気。購入後の生活が想像できる室内は大きな魅力
フルモデルチェンジでエクステリアは大きく変わった。新型は所有者の属性を選ばないようなスッキリとした未来的なデザインが印象的。「カッコいい」、「頼もしい」印象を受ける先代モデルと比べて、時代に即した言葉でいうと、より「ジェンダーレス」かつ「ミニマリスト」なイメージ。とくに目をひくのは、ヘッドライトが『スターウォーズ』の宇宙船のようなデザインなこと。丸みを帯びていて優しい顔つきが好印象を与える。
インテリアはどうか。フリードのドアを開けて筆者が一番最初に驚いたのは、「フリードを買った後」のいろんなシーンがイメージできたことだ。まずボディサイズからは想像できないほどの、「ひろびろ! ゆったり! すっきり!」な居住空間。窓が上にも下にも広いから、子供から高齢者まで、どこに座っても開放的な空間が楽しめる。
気取っていないシートには、触っただけで親しみが持てる。どこかのお店で座ったことがあるような優しさと親しみやすさがある。実はこのシートの表地には、油汚れにも強いファブテクトというファブリックが使われているため、車内でご飯を食べたり、子供が飲み物をこぼしたり、スイミングウェアを着たまま乗っても安心だ。
ロングスライドシートの効果と各部の工夫で前後左右の移動も楽ちん。すぐに運転席から後部座席に行ける。子供のピンチにもすぐ対応できる。わざわざクルマの外に出る必要がない点も非常に便利だ。
また、このクルマには360度スーパーUV、IRカットパッケージがあり、紫外線を99%、赤外線を約70〜80%カットするため、美肌作りに気を配る女性の味方ともいえる。一部を除きリアクーラーも完備されており、車内全体を快適な温度に保てる。メーカーの心遣いが感じられて、乗っているだけで心がほっこりするのはいつぶりだろうか。
また、後部座席の足元やシートには遮るものがなく、快適に足を伸ばせる。まさに広々。2〜3列目の多彩なシートアレンジも魅力。クロスターの2列シート仕様なら後席の座面を前方に跳ね上げ、背もたれを前倒しすることで、完全なフラット空間が生まれる。これはまるでテレビで観るビジネスクラスのフルフラットシートみたいだ! これならキャンプ道具やスポーツ用品など大型のラゲッジも載せやすい。たとえばIKEAで家具を購入したとき、どの程度のサイズまでなら積めるのかが容易に想像でき、実際に「買った物がクルマに入らなかった!」という問題が起きにくい。すごいぞフリード!
この広さは一人で過ごすシーンでも役立つ。エアコンや快適なシートでパソコンや書類を広げて作業を行うこともできる。海沿いで波の音を聞きながらワーケーションなんかも気持ちがいい。クルマでワーケーションと聞くと狭いように感じるが、フリードなら広すぎて、空間が一気に「贅沢」に変わるだろう。
フリードはコスパ面でも非常に優れている。エントリーモデルは250万8000円から購入可能。燃費は(WLTCモード)、FF(2WD)が16.3㎞/リッター~25.6㎞/リッター、4WDは14.4㎞/リッター~21.3㎞/リッターと良好。格上のステップワゴンと同等のユーティリティながら、価格とランニングコストが抑えられている点は、長期間の所有においても経済的な負担が少ない。貯金志向や趣味にお金を投じる若い世代にとっては、コスパは命だからありがたい!