スズキの“高性能イメージ”を定着させた名車

 フロンテSSは、エンジンだけが強力なスポーツモデルではなく、全身でスポーツマインドを発散する“本物”だった。SSの価格は38万7000円。当時の軽自動車の中で最も高価な1台だったが、それでも内容を考えると“割安”という評価が与えられた。

 エクステリアはセブリングタイプの砲弾型ミラーと、各部のブラック処理が精悍な印象を訴求。インテリアもフルリクライニング式バケットシートが奢られ、メーターはスポーティな3連メーターを装備するなど、ハイパフォーマンスに相応しい仕立てが与えられた。足回りも実にしっかりとしていた。

【クルマ物知り図鑑】名手スターリング・モスも驚嘆した韋駄天ミニ、1968年スズキ。フロンテSS
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【クルマ物知り図鑑】名手スターリング・モスも驚嘆した韋駄天ミニ、1968年スズキ。フロンテSS
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 フロンテSSの投入により、高性能イメージが定着したフロンテ・シリーズの販売は急上昇する。1968年の10万6534台が1969年には12万4550台にジャンプアップ。1970年には15万6307台をマークする。スズキがホンダに続く軽自動車シェア、ナンバー2の座を確立するのに、フロンテSSの功績は大きなものがあった。

スズキ・フロンテSS主要諸元

モデル=1968年式フロンテSS
全長×全幅×全高=2995×1295×1330mm
ホイールベース=1960mm
トレッド=フロント:1120/リア:1060mm
車重=440kg
エンジン=356cc空冷2ストローク3気筒
エンジン最高出力=36ps/7000rpm
エンジン最大トルク=3.7kg・m/6500rpm
最高速度=125km/h
最小回転半径=3.9m
サスペンション=フロント:ウィッシュボーン/リア:トレーリングアーム
ブレーキ=前後ドラム
タイヤサイズ=4.80-10-2PR
駆動方式=RR
乗車定員=4名

提供元・CAR and DRIVER

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