リベラルアーツを重視する傾向や分野横断型学部が増え続ける中で、数年後には役に立たない専門性を追究することに意味があるのかという問いもある。しかし、現状はプロフェッショナルを目指さなければ専門分野の世界で生き残ることは難しく、狭く深くの差別化戦略を取らざる負えない。

専門分野を追究することでまずは狭い分野のディシプリンを身に着けることができる。そして、自らの専門分野の枠をしっかり理解することで異なる学問や研究者の理解に繋がり、専門分野を越えた連携や学際研究の基本を身に付けることができる。

また、研究者自身が自分の所属する分科に対して俯瞰的かつ総合学的な視点を持ち合わせることで、異分野との連携時に共通言語と共通の価値観の醸成が容易となり、円滑な学際研究の推進に繋がるだろう。

まとめ

学問は「タコツボ型」と「ササラ型」に分けることができる1)が、総合診療学や総合診療医はまさに「ササラ型」であると感じた。

私の専門である土木工学の分野では、タコツボ化が深刻であり、総合学の必要性を唱えても簡単に既存の枠組みを変えられない状況であると認識している。理想を実現するためには、まずは自分自身が行動し、少しずつ「変化」をもたらすしかない。

私はコンクリートが専門であるが、河川や都市計画等、他の専門領域外の知見も修得し、これからの日本の国土やインフラについて総合的かつ俯瞰的に意見を述べられる専門人材、総合土木学者を目指して研鑽を続けたい。