ニューヨーク州のホークル知事は判決について、トランプ氏のケースは「異例」であり、「法を遵守してルールに従っているビジネスマンのニューヨーカーは、何ら心配することはない」と語っていた。
専門家の一部からは、判決が悪しき前例になる可能性を懸念する声が上がっている。
AP通信によると、問題に関わった銀行は、トランプ氏が個人的に保証することに同意したことを理由に低金利で融資をしており、証言を行った銀行関係者は、資産価値が水増された報告が金利に何らかの影響を与えたのか明確に述べなかった。
ミシガン州立大学の法学教授、ウィリアム・トーマス氏はAPに対して「誰が苦しんだのか?大勢の被害者のリストがない」と疑問を呈した。
ニューヨーク州司法長官が提訴の土台としたニューヨークの行政法第63条(12)として知られる詐欺防止法は、原告側は「繰り返された詐欺行為または違法行為」の証明のみを必要とし、詐欺をする意図、または騙されたり金銭を失ったりした被害者の存在を必要としない。
ロイターによると、同法はこれまで、消費者や投資家、零細企業を詐欺などの略奪的慣習から保護するために使用されている。被告とされてきたのは鶏肉業者から仮想通貨取引所、貸金業など多岐にわたるが、金融知識の乏しさを企業に悪用され、多額の損失を被った被害者が大勢いるのが一般的だという。
トランプ氏は上訴する計画を示しており、控訴審では「被害者なし」の主張が、一つの鍵を握ると見られている。