1996年9月の道路交通法改正により、大型二輪免許の教習が指定教習所で受講可能となっているのはほとんどの方がご存じかと思います。当時は画期的であった道交法の改正でしたが、現代において大型二輪取得のために教習所へ通うというのが一般的になっています。教習車の特徴として、万が一の転倒に備えてクラッシュバンパーによる車体保護といったトレーニングマシンとして極めて優秀な仕様になっていることは。
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歴代の教習車はホンダなら「VFR750K」「CB750K」。ヤマハならXJR1300、カワサキならゼファー750がありました。今となってはハーレーの883ベースの教習車もありますよね。
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今回紹介するのは、2022年にフルモデルチェンジした教習車、ホンダ「NC750L」です。2021年にフルモデルチェンジしたNC750Xがベースとなっています。NC750 シリーズは直列2気筒エンジンが採用されており実にトルクフル。そしてトレーニング用にセッティングされたサスペンションは、加減速の感覚をつかみやすくバイクの車体特性を感覚的に習得できることでしょう。また大型二輪とはいえパワーを抑え、かつ低速トルクを持たせることで運転の基本操作と理論の習得を叶えてくれるとおもいます。
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新たにバイザーが設けられたデジタルメーターには初心者に嬉しいギアインジケーターも表示されているため、ギアの入れ間違い予防にも貢献することでしょう。従来モデルと比べるとディスプレイが長方形型になり速度表示を読み取りやすくなっている気がします。教習中や検定中は、指示速度区間および急制動へのアプローチ時には速度表示を確認するクセを付けておきましょう。
ABS(アンチ・ロック・ブレーキ)採用のブレーキ機構
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以前までのモデルとは異なりABS装置が搭載されているため、教習項目にもある「急制動」の課題におけるタイヤロックによる転倒のリスクも低くなりました。フロントには大型ディスクローターをシングルで配置。制動力を確保しつつ、消耗が激しい環境下で走行する教習車のタイヤ交換やパッド交換などの整備性にも配慮?しているように思います。
NC750Lは、部品点数を少なくすることで低コスト、整備性の向上、耐久性の向上などに貢献しており、運行管理する側にも配慮された「業務用バイク」といえます。
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教習車にも関わらず図太い排気音が個人的に好感触。バイクを運転に排気音は必要不可欠。排気音は「聞き心地」だけでなくエンジンの回転数やクラッチ操作の加減など、正確な運転操作を行うための指針でもあります。ライダーの耳に届きやすい排気音は教習所内の複雑な課題を走行するにあたって、半クラッチとスロットル操作の調和のコツを掴みやすくなるかもしれません。