ハリス副大統領が当選したとしても、共和党が上院で多数党なら思うような政権をつくれない可能性が高い。というのも、民主党が全員賛同したとしても、少なくとも1名の共和党議員が承認しないとハリス副大統領が指名した政府高官は承認されない。そのため、共和党から数名が賛同するような政府高官を選ぶ必要があるので、極端な左派が選ばれることは難しいだろう。なので、ハリス副大統領が当選しても極端な左派政権になることは実現できないだろう。

これは、トランプ氏が当選した時も同様だ。トランプ氏に強く賛同している共和党議員は決して多くない。共和党議員の3分の2くらいは強い支持があるが、残り3分の1はそうとはいえない。

さらに、少なくとも共和党上院議員7名はトランプ氏を支持すると発言していない※5)。はっきりとトランプ氏に投票しないと宣言したマカウスキ上院議員などもいれば、回答を避けている上院議員もいる。

たとえトランプ氏が当選したとしても、トランプ氏の思い通りに政権幹部が就任できるとは思いがたいのだ。

なお、共和党の上院院内総務を長く務めてきたマコネル上院院内総務は年内でトップから退く。候補者の中で、最もトランプ寄りのバラッソ上院議員(WY州選出)が上院議員の党内選挙で選ばれるか、マコネル上院院内総務の側近を長く務めているスーン議員が選ばれるかで状況も変わってくるだろう。この党内選挙は総選挙後に非公開で行われる。

下院も共和党が勝利する可能性が高い

基本的に下院選挙区は、選挙区割りでどちらの党が勝つか決まる。選挙区割りについては、詳しくは過去に書いたブログ(2024.4.1 選挙区割りを巡る法廷闘争は一区切り)をご覧ください。

共和党は選挙区割りによってほぼ勝利が確定している”Solid Republican”で182議席を獲得できる見込みであり、Likely, Lean, or Tilt Republicanまでいれると206議席の確保できているといっていい。一方で、民主党は203議席しか確保がみえておらず、この時点で共和党が有利だ。