(2)食料など何らかの報酬を目的とせず、自発的で行動自体が報酬であること
(3)食料調達や繁殖行動など通常の行動とは異なること
(4)繰り返されるが定型的でないこと
(5)ストレス条件下になく、リラックスした状態で開始されること
バンドウイルカはイルカの中でも特に遊び好きで、年齢に関係なく頻繁にこれらの基準に当てはまる遊びの行動をとることが知られています。
遊びの内容は、ジャンプや宙返り、波に乗るといったアクロバティックなものから海藻、ブイなど浮遊物を使ったものなど様々で、単独もしくは仲間同士で行います。
子供のイルカは生後数週間で仲間たちと遊び始め、社会的ネットワークを広げていきますが、仲間たちとの社交的な遊びでは、遊びの行動が相手への敵意ある行動ではないことを示し、喧嘩に発展しないためのコミュニケーション手段が存在すると予想されます。
犬(Canis lupus familiaris)やオオカミ(Canis lupus)、ブチハイエナ(Crocuta crocuta)など社会性を持つ肉食動物や霊長類といった様々な動物が、「攻撃じゃなくて遊びですよ」と示す視覚的なサインとして人間の笑顔に似た口を開ける行動をとります。(こうした笑顔に類似した動物の表情や行動をOpen Mouth(OM)と呼びますが、この記事では「笑顔」と表現します。)
しかし、イルカでも同じように友好的な表情として笑顔を使用するのかはわかっていませんでした。
そこで今回の研究では、飼育下のバンドウイルカが訓練や給餌以外の自由な時間に行った、バーグハート氏の遊びの定義に基づく遊びの行動を観察し検証しました。
バンドウイルカも遊びながら微笑み合っていた
研究チームは、イタリアのズーマリン(Zoomarine)で飼育されているバンドウイルカ11頭(オス6頭、メス5頭、年齢範囲1〜38歳)と、フランスのプラネット・ソヴァージュ(Planète Sauvage)で飼育されているバンドウイルカ11頭(オス7頭、メス4頭、年齢範囲1〜34歳)の行動をビデオ録画しました。