ちなみに、2013年11月、ウィーンで開催された「グローバル・フォーラム」に参加した米ユダヤ教宗派間対話促進委員会事務局長のラビ、デヴィト・ローゼン師(David Rosen)に欧州で広がる反ユダヤ主義の背景などについて聞いたことがある。10・7テロ事件の10年前のことだ。ローゼン師は「反ユダヤ主義は人類歴史の中に彷徨っている耐性化ウィルスだ。そのウィルスのルーツは何か。多くの原因が考えられるが、主因は人間がスケープゴート(贖罪の山羊、生贄)を必要としている存在だということだ。何が悪い事が生じると、誰かをその原因として非難する。そしてユダヤ人は伝統的にスケープゴート役を担ってきた」と述べたのを今でも記憶する。時代が閉鎖的で未来への展望が見いだせない時代、10・7のハマスの奇襲テロが起きると、世界的に反ユダヤ主義が急速に拡散していくのを、私たちは今、目撃しているわけだ。

なお、ネタニヤフ首相は5日、国民に向けて声明を発表している。同首相はイスラエルへの武器支援を停止すべきだというフランスのマクロン大統領らに対し、「なんと恥ずべきことだ。イスラエルは彼らの支援の有無にかかわらず勝利するだろう。しかし彼らの恥は、戦争が終わった後も長く続くだろう。安心してください、イスラエルは私たちのため、そして世界の平和と安全のために、勝利するまで戦う」と述べている。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年10月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。