石破首相の所信表明演説は、無残なものだった。総裁選で彼が主張していた筋論はきれいさっぱりなくなり、選挙目当ての老人ポピュリズムのオンパレードだ。
ではそれに対する野党はどうか。いつもなら野党の公約なんてどうでもいいが、今回は石破内閣がグダグダなので、自公で過半数を割る可能性も出てきた。その場合は維新か国民民主が連立の相手になり、彼らの政策が反映される可能性がある。
ところが彼らの公約は、旧態依然のポピュリズムだ。
政権公約マニフェスト2024を発表しました。
「将来世代への徹底投資で、新しい時代の政治を創る」
-維新が実現する4大改革-
①政治腐敗を浄化する政治改革 ②世代間不公平を打破する社会保障の抜本改革 ③可処分所得を倍増させる減税・成長戦略・規制改革 ④所得制限のない教育無償化と教育改革 pic.twitter.com/SfccTvCbiX
— おときた駿(日本維新の会 政調会長・衆議院東京1区支部長) (@otokita) October 3, 2024
この「教育無償化」は学費の税金化であり、教育を社会主義化して保護者が納税者にただ乗りする制度だ。これは前原グループ(教育無償化を実現する会)を合併したお家の事情だろうが、「税金を集めて配るのではなく集めない」という維新の哲学に反する。
社会保険料も消費税も減税して財源はどうするのかこれについては国民民主党の玉木雄一郎氏が「教育の提供者側ではなく需要者側を支援すべきだ」と批判しているが、国民の公約も「消費税5%」に減税する露骨なポピュリズムである。
維新の公約も、くわしく見ると「消費税を8%とし、軽減税率制度を廃止します」と書かれている。彼らの共通点は社会保険料の軽減だが、その財源を明示しないかぎり絵空事だ。特に問題なのは、国民も強調している老人医療への「支援金」などの毎年10兆円の保険料の超過負担である。これが保険料の4割をしめる。