終末を告げる「7つの幻」とカリスマ的指導者への道

 1933年、ブランハムは主イエス・キリストから「世界の終わりが来る前に7つの大きな出来事が起こる」という啓示を受けたと主張し、その内容を「7つの幻」として発表した。
 彼が予言した7つの出来事とは以下の通りである。
■ムッソリーニがエチオピアに侵攻し、エチオピアは彼の足元で滅びるだろう。
■オーストリア出身のアドルフ・ヒトラーがドイツの独裁者となり、世界を戦争に引きずり込むだろう。
 ヒトラーは謎めいた最期を迎えるだろう、とも予言している。
■ファシズム、ナチズム、共産主義という3つの大きな主義が現れるが、最初の2つは3つ目に飲み込まれるだろう。
「ロシアに気をつけろ、ロシアに気をつけろ。北の王から目を離すな」という警告も付け加えている。
■第二次世界大戦後、科学が大きく進歩するだろう。
 遠隔操作で動くプラスチック製のバブルトップの車が登場するだろう、と具体的に描写している。
■女性を中心とした道徳的問題が深刻化するだろう。
 女性の参政権獲得、髪を短くすること、男性の服装をまとうことなどを例に挙げ、女性のモラル低下を嘆いている。
■アメリカで美しくも残酷な女性が台頭し、人々を支配するだろう。
 これがローマカトリック教会の台頭であると考えていたようだが、女性による投票の結果、アメリカで大きな権力を握る女性が現れるという解釈も示唆している。
■アメリカ全土で恐ろしい爆発が起こり、瓦礫とクレーター、煙だけが残るだろう。
 これらの予言は、後に実際に起きた出来事と符合しているように見えるものもある。しかし、他の予言は実現していないか、曖昧なままであり、ブランハムの信者たちでさえも、その信憑性については疑問視する声がある。

終末を告げる「7つの幻」とは…世界を熱狂させた預言者ウィリアム・マリオン・ブランハムの波乱の人生
(画像=癒しキャンペーンの会合に出席したブランハム 画像は「Wikipedia」より Public Domain,『TOCANA』より 引用)

 1946年、ブランハムは再び天使の訪問を受け、「世界中で癒しを行うように」と命じられたと主張する。彼は、神から病人を癒し霊を見分ける能力を与えられたと語り、全米各地で癒し集会を開催した。

 彼の集会には、奇跡を目撃しようと多くの人々が押し寄せ、失明や麻痺が治ったという報告も相次いだ。ブランハムは熱烈な説教と奇跡的な癒しによって人々を魅了した。

 ブランハムは世界中を旅して癒しを行い、その活動は世界的な注目を集めた。彼は多くの信者から「神に遣わされた預言者」として崇められるようになり、カリスマ的な宗教指導者としての地位を確立した。

終末を告げる「7つの幻」とは…世界を熱狂させた預言者ウィリアム・マリオン・ブランハムの波乱の人生
(画像=J.Leysbr (original image); User: NalK22 (retouched image) – CC 表示-継承 4.0, リンクによる,『TOCANA』より 引用)