■ビッグフット4人家族との監禁生活

 移動の足がようやく止まると、オストマン氏は地面の上に降ろされた。

 寝袋のチャックを恐る恐る開いて周囲を注意深く眺めたオストマン氏は、洞窟のような暗い場所で全身が毛むくじゃらのビッグフットを複数目撃することになる。

 オストマン氏を運んできたと思われる筋骨隆々で一番大きな個体は身長2.4メートルほどもあり、おそらく父親で、他にもう少し小さい体格の母親と男女の子どもらしき個体がいたのだ。つまり、オストマン氏は4人家族のビッグフットの住処に連れてこられたのである。

 彼らは独特の言葉で会話をしていた。オストマン氏は寝袋から出たが、彼らは何ら危害を加えようとはしてこなかった。しかし、オストマン氏が洞窟を出ようとすると彼らは進路を塞ぐので、どうやら彼らはオストマン氏をここから出さないつもりであることがわかったのである。

 オストマン氏はそれから6日間、このビッグフットの家族と生活を共にすることなる。オストマン氏は彼らから提供されるナッツと野草の食事をし、樹皮を敷いた寝床で眠った。起きている間はビッグフットの子どもたちと遊んでいたのだが、服のポケットに入っていた嗅ぎタバコの箱を渡すと、彼らは箱を興味深く開け閉めしてずっと遊んでいたという。

 そして、オストマン氏はある意味では自然に、彼らが口にしている言葉を学ぶことになる。

 たとえば、オストマン氏にそこに座ったままでいることを望んでいる時、彼らは「ソカ、ソカ」と言った。また彼らが水をくれる時、彼らは毎回「オック」という言葉を口にしていた。

 こうした言葉を聞くうちにオストマン氏は、「ソカ」は「留まる(stay)」を意味し、「オック」は「水(water)」かあるいは「飲む(drink)」を意味するものであると推測したのだ。そしてオストマン氏はいくつかの基本的な単語を使って言葉で簡単なコミュニケーションができるようになった。

 また、彼らのコミュニケーションにはより複雑な側面もあり、ジェスチャーや顔の表情を使ってアイデアを伝えたり、足を踏み鳴らすこともあったという。ビッグフットとのコミュニケーションはオストマン氏にとってとても興味深いものであったが、しかし、そろそろここから脱出するべきだと考えるようになる。