お金
お金についての感覚もずいぶん違う。
自分はサラリーマンの頃、恥ずかしいことにケチケチしていた。元が貧しかったというのもあって、貯金を減らすことの恐怖感は人一倍強くてお金を使うとそれがたとえどれだけ欲しいものでも「損をした」という感覚を拭うことはできなかった。それでいて全然貯金も持っていなかったのだ。
独立した今はお金を使うことの感覚がずいぶん変わった。お金を使うことは損をする、というのではなく「将来の利益を作るための先行投資」という感覚に変化したのだ。本を買う、映画を見る、カフェで会話する、旅行へ出かける、最新ガジェットを使う、これらすべてが何らかの仕事に直結する。
本を読めば知識への投資、映画を見るのは感性への投資、人との会話は人生観を広げ、旅行も同じ、最新ガジェットは効率と時間への投資である。つまり、お金を100使っても減らずに、105とか120になって返ってくる。
この感覚の違いは表現力の差である。サラリーマンの頃は会計職についていた。この仕事では会計に関する活動以外はすべてプライベート支出である。だが、現在は色んな仕事をしているのであらゆる体験が「仕事としての自己表現」になる。人生経験は記事や動画の中で話すことも多く、ビビッドな体験がなくなれば話すことが尽きてしまうのでむしろ、意識的に投資し続ける必要があるのだ。
人間関係最後に人間関係である。サラリーマンの頃の人間関係とは「職場で摩擦を減らし、人事権を持つ上司に気に入られて昇進してもらうためのもの」。そのため、退職するとこうした人脈、人間関係は完全にリセットされて、新たな職場で一から構築するという感覚だった。
だが独立するとあらゆる人間関係は、次の仕事の呼び水になり得る。先日、あるイベントで偶然仲良くなった人と意気投合をして「よかったらうちのメディアであなたを記事に取り上げましょうか」という話になった。結局、色々話す過程でお互いの条件があわずに話は流れたが、サラリーマンだとあり得ないオファーである。また、お金を頂いているお客さんと協業で仕事をすることにつながったこともある。