日本の株式市場では石破氏の総裁選勝利後、激しい値動きになっており、その理由を政権不安、衆議院選挙、はたまた中東の不和などに理由を見出そうとしていますが、隠れた理由にアジア向け資金が日本に向かわず、香港に向かっている可能性はあるとみています。

中国株は長らくドツボのようになっており、安値放置となっていました。企業の実力を欧米企業と数値比較してもあまりにも安く、評価的には半額ぐらいのバーゲンセールの銘柄も多くなっていました。米中間の経済制裁問題のみならず、中国政府が打ち出す経済浮揚政策が小粒、小出しでちっとも刺激にならなかったことであきらめムードすら漂っていたわけです。

ですので9月24日と26日の動きは「今回は違う」「本気だぞ」という気にさせたのでしょう。

ではお前はどう思うのか、と聞かれると正直、本気にはなれないのです。まず、今の棒上げ状態が中国本土がお休みで真空地帯を駆け上がるような状況にあることで株価が一方通行になりやすいのです。仮に中国政府が近いうちに経済対策を打ち出しても金融対策が主力であり、財政出動の期待値は未知であります。不動産開発業者に手持ちだけを完成させ、新規には住宅を作るな、と言っているので建設資材や資源などの需要が爆発的ブームになるとは私は予想できないのです。

次に中国経済のポテンシャルです。アメリカや欧州が中国警戒網を敷く中、輸出先は新興国などが対象となりますが、例えばEVも需要の先行きは青天井だったものから大幅な生産調整を強いられる状況です。半導体需要については中国政府がエヌビディア製「H20」半導体をなるべく買わずに国内製を使うようお達しを出しました。典型的な中国式内製化が半導体まで進むことになります。こうなると中国製のエレクトロニクス製品は少なくとも西側諸国では買いにくくなり、もろ手を挙げての経済浮揚策にはならないように感じるのです。

大局的にはここに来て飽きが出てきたアメリカの大統領選が約一月後に迫る中、マネーがその行き場を探している、そんな状況に見えます。日本を含む西側諸国の経済政策は割と明白なベクトルが出ていますのでサプライズ感が打ち出しにくい中、中国の2段ロケットは心地よい刺激だったのでしょう。