ところで、タクシン元首相はいろいろと不正疑惑の多い人であり、2006年の軍部クーデターにより失脚した。しかし、あのアジア通貨危機の後遺症で苦しむタイ経済を復活させ、その後の高度成長を導いてきたリーダーでもあり、その経済手腕については評価が高いのも事実だ。

失われた10年から復活するタイの株式市場

さて、タイの著名な投資家であるニウェート氏が現地の新聞に書いたコラム記事を以下に紹介する。

タイの株式市場は過去10年間低迷してきた。これはかつての日本株式市場も同じであったが、ある時、国のリーダーによって政策が大きく変更され、それまで日本が必要としていた変化がもたらされた。その結果、日本経済と株式市場に活気が戻ったのである。私も今回の変化でタイの株式市場が活気づき、長期間にわたって上昇を続けてもらいたいと願っている。

タイでも安倍首相の経済政策が高く評価されているのがわかるが、ニウェート氏もタイの新政権が安倍首相のようなリーダーシップで経済を再生することを期待しているのである。

一方で、石破政権は安倍政権が行ってきた政策を否定し、緊縮財政や増税をやろうとしており、これでは失われた30年ともいわれた長いデフレからやっと脱却し始め、活気が出てきた日本経済と株式市場がまた沈んでしまうことになる。

また、少子高齢化対策としての移民拡大政策であるが、そもそも日本は歴史的に単一民族国家であるにもかかわらず、安易に移民拡大をするのは危険だ。多民族国家であるアメリカやヨーロッパでさえこれだけ治安の悪化や経済的負担で苦しむ中、移民政策には特に注意が必要である。

いずれにせよ、東京株式市場は素直に反応し、国民の民意を反映してない石破政権に対してNoを突き付けている。しかし、10月27日の解散総選挙で自民党大敗という結果になれば、次はYesとばかりに急反発するはずである。