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民意を反映しない石破政権への市場の反応

去る9月27日の自民党総裁選を筆者もバンコクで期待を持って注視していたのであるが、大半の投資家が日本経済再生の牽引者と見込んでいた高市氏が、最後の最後で自民党内のくだらない権力争いによって敗北した。

その途端、筆者と同じく落胆した株式先物市場は2,400円以上も暴落した。たとえ新政権発足といえども民意を反映していない政権には、ご祝儀相場どころか失望からくる浴びせ売りで市場からNoを突き付けられるということだ。

さらに、石破氏はほとんど自分の仲間内で固めた見栄えのしない内閣を組閣し、長期政権を狙ってすぐにはやらないといっていたはずの解散総選挙を今月行うことにしたのである。総裁選からわずか数日なのに、これでは国民の信頼は薄れるばかりなのがわからないのだろうか。

国民の期待を反映するタイの株式市場

実はタイでもほぼ同じ頃、首相の交代劇が起こった。8月14日に前セター首相が憲法倫理違反により解職され、9月6日に新しいぺートンタン政権が発足したのである。

その時のタイ株式市場の平均株価であるSETインデックスの推移が上のチャートであるが、タイ国民から支持されなくなっていた前首相の在任中、株価はじり安が続き、年初から外国人投資家の売りによる市場からの資金流出も続いていたのである。

しかし、首相の解職が決まった途端、その後の首相不在期間による不透明感にもかかわらず株価が底打ちし上がり始めたのである。これは東京株式市場が岸田首相の退陣を好感し、高市政権への期待で総裁選当日までじりじりと値上がりを続けていたのと同じである。

しかし、ここからタイと日本では結果が大きく違ってくる。9月6日にタクシン元首相の次女、ペートンタン政権が発足したところで、市場はバックでサポートするタクシン元首相の存在もあって、長期安定政権への期待で外国の投資資金がタイへ逆流し始め、株価が一段高となったのである。