PCB(ポリ塩化ビフェニール)をめぐって関西電力送配電の高市副社長が辞任した。問題はPCBの含まれる変圧器が残っていることを知りながら、国や大阪府に虚偽報告したコンプライアンス違反で、これ自体はよくないが、PCBにはほとんど害はない(2019年9月21日の池田信夫blogの記事の再掲)。
「カネミ油症の原因はPCB」という報道は誤報だった関電送配電、国への虚偽報告で副社長辞任 問題把握も25年以上放置 https://t.co/ftBjzVDgHd
関西電力送配電は1日、低濃度のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む電柱の変圧器をめぐり、不適切な取り扱いがあったと発表した。
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) October 1, 2024
福島で騒がれたトリチウムは、普通の水にも含まれている、ほぼ無害といってよい物質だが、こういう物質がいったん有毒物質とされると、それが科学的には無害とわかっても、莫大なコストをかけて処理しなければならない。
私が取材する側として経験したのが、PCB(ポリ塩化ビフェニール)である。これは1万4000人が食中毒になったカネミ油症の原因とされたが、瀬戸内海の魚からPCBが検出されたことをNHKがスクープし、全国で魚が売れなくなるパニックが発生した。PCBの製造・輸入は禁止され、それを使った変圧器などはすべて廃棄された。
しかしその後の調査で、食中毒の原因は熱媒体として使われていたPCBではなく、それが加熱されてできたダイオキシンであることがわかった。中西準子氏の研究でも、ライスオイル中毒の原因はPCBではなくダイオキシンだったと結論している。
これはNHKも早くから気づいていた。私がPCB問題を取材した1980年代から「原因はダイオキシンだ」という研究発表が出ていたが、NHKは無視した。それを認めると、大スクープが誤報ということになってしまうからだ。