現在のイラン・ケルマーン州で紀元前3000年前の町の遺跡が発掘された。その町の住居や通路は我々が暮らすにはあまりにも小さいことから、かつて存在した“リトル・ピープル”の町だったのではないかと話題を呼んでいる。
■リトル・ピープルが暮らしていた“ドワーフの都市”
チワワからセントバーナードまで、犬にはさまざまなサイズの種があるが、我々人類もかつては大小さまざまなサイズの種族がいたのかもしれない。
イラン・ケルマーン州のMakhunikという村で、いにしえの町の痕跡を残す遺跡が1946年に発掘されている。それまでは土に埋もれていたこの遺跡は、なんと紀元前2000年から4000年も前のもので、町を構成する住居や通路などがすべて奇妙なほど小さかったため、“リトル・ピープル”の町だったのではないかと噂され、“ドワーフの都市”という呼ばれるようになったのだ。ちなみにドワーフ(dwarf)とは北欧神話で語り伝えられるきわめてパワフルな小人だ。
1948年から同国テヘラン大学などによって本格的な調査が始まったが、町の通路やトンネル、住居の天井から暖炉に至るまでいずれもサイズが小さく、ここで暮らしていたリトル・ピープルはせいぜい身長1メートル前後であったと考えられるという。そして、墓の跡と思われる場所も数多く発見されたが、なぜかその中から人骨が発見されることはなかった。
生活の痕跡はあるのに人の気配がないこのドワーフの都市なのだが、ある研究者は放棄された町ではないかと指摘している。遺跡の住居の扉には封印が施されているケースが確認されていることから、いずれは戻ってくることを念頭に、ある時期にリトル・ピープルたちは集団で町を離れたのではないかという。町を離れる理由は、たとえば過酷な干ばつなどである。しかしながら、この地に我々とは違う種族のリトル・ピープルの文明が栄えていたのかどうかの手がかりは、今もまったくつかめていない。
ケルマーン州の観光協会は次のように述べている。
「遺跡がドワーフの都市であると確信を持って言うことはできません。ここはきわめて古い地域で、地理的な変化によって土に埋もれていました。当時は技術があまり開発されておらず、家々を土埃から守るために高い壁を建てることもできませんでした」