CADM2は衝動性や冒険心といった人格特性と関連づけられる遺伝子です。
CADM2自体は誰もが持っている遺伝子ですが、ここに特定の遺伝子変異が生じるとその働き方や発現量に変化が起こり、衝動性やリスクテイク行動が増加することが知られています。
一方のFOXP2は言語発達や運動制御に関連する遺伝子です。
この遺伝子に特定の変異が生じると、言語能力や運動制御に障害が発生する可能性があります。
これまで、FOXP2の遺伝子変異がリスクテイク行動と関連する事実は知られていませんでしたが、本研究ではADHD患者にFOXP2の遺伝子変異があると、リスクテイク行動の増加につながることが示されました。
さらにADHDとリスクテイク行動に共通する遺伝子変異は、意思決定や衝動制御に関わる脳領域で最も強く発現していることが確かめられました。
このことはADHDとリスクテイク行動の性質が脳機能の異常と深く関連している事実を改めて支持するものです。
以上の結果から、
・「ADHD」と「リスクテイク行動」を引き起こす生物学的メカニズムには、両者に共通して見られる同じ遺伝子変異があること
・ADHDの遺伝的素因を持つ人はリスクテイク行動を取りやすくなる遺伝的特徴をも持ち合わせている可能性があること
が明らかになりました。
研究者らは今回の知見を受けて「ADHDとリスクテイク行動の2つの性質を標的とした新たな治療法の開発に役立つかもしれない」と期待しています。
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参考文献
Study uncovers shared genetic factors between ADHD and risk-taking behavior
https://www.psypost.org/study-uncovers-shared-genetic-factors-between-adhd-and-risk-taking-behavior/