しかし、そうなると診断士を取るメリットが見あたらなくなってしまいます。では、診断士の資格は本当に意味がないのでしょうか。せっかくなので、診断士の資格のメリットにフォーカスしてみようと思います。
診断士の資格を持っていれば、「経営に関して、一定の知識を持っている」という証明が可能です。すなわち、名刺に「中小企業診断士」と書いておけば、「どこまですごいのかは不明だが、一定の知識は間違いなくあるのだろう」と思ってもらえます。この間わずか1秒ですが、これは最大のメリットです。
資格のない経営コンサルタントは、この1秒を手にすることはできません。
これまでの経営経験や、コンサルティングの実績、そして講演活動がどの程度あるのか、クライアントがどれだけいるのか、そしてどんな成果を出しているのか、そういったことを伝えて始めて「力量がある」と認められます。
こういった名称だけで信頼を得るのは、そもそも資格そのもののメリットですが、自分の実績や能力などを伝えるのが得意でないという方は、診断士の資格を持っているだけで、それを証明する時間を省くことができるのです。
極論をいえば、資格を持たずに独立開業している人のほうが多いやはり資格で有利なのは入り口部分で、初めて人に会ったときや誰かの紹介でお客様候補に会ったとき、早い段階で知識的な信頼を得ることはできます。しかし、資格があることで仕事が取れるかどうかとはやはり別問題です。経営コンサルティングの仕事を取るには、資格以上に指導実績、コンサルタント自身の経営経験、人格などが問われます。
そう考えれば、単に資格を持っているだけでは、商談序盤は比較的早いスタートが切れるものの、後半戦は失速してしまう可能性が極めて高いといえます。ですから、万全を期すなら中小企業診断士の資格を持ち実績を積むことが、経営コンサルタントとしては堅実に進める道だといえます。