「それは『周囲の者からどれほど諭されてもオレオレ詐欺に引っかかる老人』に似て、そんなことではいつまで経っても彼らの本質を見誤りつづけることになります。アメリカに限らず国家であろうが個人であろうが、ことさら〝正論〞を振り翳す者は、その腹の底に〝悪意〞を隠しているものです」(神野さん)

〝正論〞の裏にある真意を理解しなければいけないのです。

トランプ事件から学ぶこと

トランプ候補、狙撃の1週間後にバイデン大統領は撤退表明をしました。党から正式に指名を受けた大統領候補が選挙途中で撤退するのは前代未聞です。

ですが、似たような構図は、ウィリアム・タフト大統領の2期目の大統領選でも起きています。しかし、投票間近になって指名を替えるというのは、同じ致命的失態と言えるでしょう。

神野さんは「歴史に大きな〝爪痕〞を遺した人物を調べてみると、『不思議なほど無名だった若いころから多くの命の危険に晒されながら、それをことごとく〝強運〞で切り抜けてきた』経験を持つことが多い」と指摘します。〝神の御加護〞でもあるかのように。

トランプ氏の「狙撃」が未遂に終わったのも彼の強運に拠るところが大ですが、それは、神から何かしらの〝使命〞を負ってこの世に生を享けたことを示唆しているのかもしれません。誰が大統領になるにせよ、次の4年間を注意深く見守っていきたいものです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)