ロナウドが多用していたシザーズ(またぐフェイント)は、タックルされると身体のバランスを崩しやすいため、対策として使用頻度を減らした。そして、シーズンを追うごとに体つきが大きくなり、持ち前の突破力が生きるようになった。

フィジカルが大きな特徴であるプレミアリーグでキャリアの初期にプレーしたことが、ロナウドの身体的な形成に大きな影響を及ぼしたといっていいだろう。成長するなかで年々、得点数を上乗せしていった。ウインガーとしてのロナウドはユナイテッド(2003-2009)で完成をみた。


クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード所属時)写真:Getty Images

転機になったレアル・マドリード入団

次に所属したスペインのレアル・マドリード時代(2009-2018)は、ロナウドにとってプレースタイルの転換期となり、年齢的にもピークを迎えた。

マドリードに入団初期はウインガーで、サイドから中央に切り込んでいって得点するシーンが多かった。次第にゴール前に入り得点を狙うストライカーの動きを織り交ぜるようになり、ヘディングシュートも増えた。これが得点が増えた要因だろう。ウインガーだったのが、次第にセンターフォワードでプレーするようになったのだ。

イタリアのユベントス(2018-2021)加入時には、完全にセンターフォワードに変貌していた。ウインガーのような動きはほとんど見せずにクロスに反応してゴール前で得点を決めることに専念し、ゴールから近い距離からのヘディングの得点がより一層増えた。

ルイス・フィーゴ氏(レアル・マドリード所属時)写真:Getty Images

憧れフィーゴとの違い

ロナウドが目標にした選手の1人に同じくポルトガル出身のMFルイス・フィーゴ(2009年引退)がいる。2人は世代が異なるが、スポルティングのアカデミー出身で、レアル・マドリードやポルトガル代表でプレーしたという共通点がある。フィーゴのポルトガル代表での通算出場試合数は127試合は、2016年にロナウドに更新されるまで歴代最多記録だった。