これにより、ネコが頭を動かしても電極がズレない、「可愛すぎるネコ用脳波測定装置」が完成しました。
そして研究チームは、この装置を11匹の成猫(いずれも変形性関節症を患っている)に被らせ、脳波を測定することにしました。
実験では、ネコたちに機械的刺激(直径2.5mmの先端が丸い金属ピンを使って右足を刺激)、嗅覚刺激(猫にとって不快なグレープフルールの匂い)、視覚刺激(様々な波長の光)を与え、その際の脳波が測定されました。
その結果、この可愛らしい装置によって、ネコの刺激に対応する脳活動の変化を記録することができました。
そして、ネコの痛みのレベルや、匂い、光に関連する重要な脳活動を特定することに成功しました。
これまでネコの脳波は、麻酔などでネコを鎮静させた状態で計測されてきたため、覚醒状態にあるネコの脳波がリアルタイムで得られたことは、大きな進展だと言えます。
しかも今回の実験では、ほとんどのネコが落ち着いた状態にあり、最小限の拘束しか必要ありませんでした。
実験にかかった時間も1匹につき約45分であり、ネコに強い負担をかけることもありませんでした。
今回の技術を活用するなら、いずれ、ネコが感じている痛みの程度の変化をリアルタイムで把握できるようになるかもしれません。
それは、変形性関節症を患うネコの痛みを緩和させる方法を見つけることにもつながるはずです。
仰々しいヘルメットではなく、可愛らしいネコ用のニット帽によって「ネコの痛みが分かる」ことも、飼い主たちにとっては嬉しいことです。
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元論文
Non-invasive electroencephalography in awake cats: Feasibility and application to sensory processing in chronic pain
https://doi.org/10.1016/j.jneumeth.2024.110254