■ただの悪質な悪戯か? それとも……
この未確認生物発見のニュースは、地元サハリン州のテレビ・新聞はもとより、政府系機関紙である“プラウダ”や“イズベスチヤ”、ロシア国営放送「チャンネル1」のニュースでも取り上げられ、海外メディアもこぞって報じた。
哺乳類でも爬虫類でも魚類でもないのならば、一体この生物は何なのか。多くの生物学者や政府関係者らが調査にあたったが、結局特定はされなかった。ただ、頭蓋骨を調べた学者はその形状が鯨によく似ていると指摘し、北極圏の海に多く生息するベルーガ(シロイルカ)の腐乱した死骸に何者かが毛で覆われた陸上の哺乳類の皮膚を乗せたものではないかという説、つまり誰かの悪戯ではないかという説も唱えられたが、しかしそのような大きな獣の皮膚を海岸まで持ってくるにはかなりの労力が必要なはずであり、誰が何の目的でそんなことをしたのかという点がまるで解せない。結局「サハリンモンスター」もしくは「サハリンシーウルフ」と名付けられたこの死骸の正体は、今日に至るも謎のままである。