■ヒメハルゼミ巡るエピソードが感動的だった
公民館へ寄贈される際には、除幕式も行われたという。地元の人から愛されていることが窺える。それもそのはず。ヒメハルゼミと茂原市は非常に関わりが深いのだ。
担当者は、「ヒメハルゼミは明治35年(1902年)頃、茂原市で初めて発見されたと言われています。鶴枝公民館の裏手は山になっていて、鶴枝八幡神社があります。神社の社叢は、昭和16年(1941年)にヒメハルゼミの発生地として、国の天然記念物に指定されました。ある種、ヒメハルゼミのお膝元ということもあり、鶴枝公民館に設置されることになりました」と、話す。
公民館の向かいにある小学校の校歌には、ヒメハルゼミが登場するという。地元で馴染みのあるヒメハルゼミが公民館に“帰ってきた”と言えよう。
設置から1年経つが、公民館のオブジェを見に来る人が多いようだ。担当者からは、「設置直後は、地元の子供たちが見に来ることもあったそうです。また、房総半島はバイクで来られる方が多いのですが、バイクやロードバイクに乗って写真を撮られたり、走行ルートに公民館が組み込まれることもあるようです」というコメントが得られた。
これからも、ヒメハルゼミのオブジェは茂原市の人々を優しく見守ってくれることだろう。