――家賃の手ごろな物件はありますか?

永松:BTS(高架電車)の駅で、エカマイ駅の先のプラカノン駅、オンヌット駅の周辺も良いでしょう。この辺りは、BTS(高架電車)で中心地まで行きやすい割に家賃も手ごろです。駅からの距離や築年によりますが、約30平米で20,000バーツ(約8万円)前後です。

オンヌットの「The Base Park West Sukhumvit 77」

タイのコンドミニアムを買う目的は?

――コンドミニアムを買う方もいらっしゃいますか?

永松:以前は、キャピタルゲイン(値上がり)狙いで購入される方が目立ちましたが、最近は、バンコクが気に入ったという理由で購入する方も増えてきました。さらに、アセットアロケーションの一環として、タイにも資産を持っておこうと考える方も増えてきました。

――どれくらいのお値段ですか?

永松:BTSスクンビット線のアソーク駅~トンロー駅あたりが良いと思いますが、新築の1ベッドルームで4,000~5,000万円です。

不動産のプロ永松社長も、タイで不動産トラブルに巻き込まれた!

――タイは安定成長している国ですから、安心してコンドミニアムを買えそうですね。

永松:ただ、注意は必要です。何を隠そう、この私がトラブルに巻き込まれました。海沿いの保養地パタヤのコンドミニアムが1部屋1500万円くらい、場所が良い割に安かったから買ったのですが、完成後、登記できないと言うのです。役所に提出していた計画ではコンドミニアム2棟だったのに、実際に作ったのはコンドミニアム1棟・ホテル1棟だったので、登記できないということでした。

――今更ですが、どうすべきだったのでしょうか?

永松:弁護士を入れて契約書や関連文書を確認していれば、トラブルを防げたはずです。お客さんが買うときは弁護士を入れて確認するのですが、今回は買うのが自分だったうえ、金額も小さかったので、弁護士の確認を省いたのが敗因です。

有名デベロッパーであっても安心するな!

――でも、そんなトラブルはそう多くないでしょう。

永松:実はこうしたトラブルは少なくないのです。こうしたトラブルに巻き込まれないためには、チェック体制の整った不動産会社が間に入る方が良いのですが、顧客がデベロッパーの事務所に直接に行ってしまうと、デベロッパーが直で見つけた顧客として記録され、不動産会社が入ってチェックすることもできません。不動産会社を入れると負担が増すと思う投資家の方もいらっしゃるかも知れませんが、そんなことは無いので、お声がけ頂ければと思います。

【補足】 インタビュー後で調べたところ、報道されている事例として、以下がありました。 JR九州とタイのデベロッパーのInspireが合弁でコンドミニアムを建設する予定でしたが、Inspireが資金難で計画がストップしてしまったという事案がありました。 また、三井不動産とタイのデベロッパーのAnandaが合弁で、BTS(高架鉄道)と地下鉄の交差する最高の立地と言うべきアソークにコンドミニアムを作ったのですが、建物完成後、接道要件を満たしていないとして問題になっているという事案がありました。 こうした事案が実際にあったことを踏まえると、永松社長の指摘されたように、購入前のチェックは必須と言えそうです。

二流物件を1つ買うより、一流物件を1つ買え!

――賃貸の利回りはどれくらいでしょうか?

永松:外国人や外国企業は不動産を賃貸して収益を得ることはできませんが、外国人もタイ法人を設立すれば賃貸できます。ただ、利回りは3%くらいですから、収益という点では、キャピタルゲインの方が狙い目でしょう。

――購入時に気を付けるべきポイントは何でしょうか?

永松:デベロッパーと立地です。先ほども言いましたように、タイの不動産投資にはリスクがありますが、一流デベロッパーであればリスクを抑えられます。60社ほどのデベロッパーがタイで上場していますが、弊社は、その中から信頼性が高く日本人が満足できるデベロッパーの物件を選んでいます。

――立地で、タイ特有の事情はありますか?

永松:日本では南向きが好まれますが、タイでは暑すぎるのを嫌って北向きが好まれます。でも、方角以上に眺望が重要で、眺望で値段が変わってきます。さらに、高層階できれば最上階が良いですね。東南アジアや中華圏の富裕層は希少性を重視しますので、最上階で眺望のよい部屋がベストです。

――立地が良く眺望の良い高層階が良いのは分かりますが、出口(売るとき)に高いだけでなく、入口(買うとき)も高くて、手が出ません。

永松:二流の物件を二つ買うのであれば、一流の物件を一つだけ買ってください。富裕層は皆この行動パターンです。車であれば、ベンツGクラス2台よりフェラーリ1台。これが富裕層の法則です。

インタビューを終えて

自らの不動産投資の失敗談を笑いながら話す永松社長に、「これ、書いちゃっていいんですか?」と尋ねたところ、「ばんばん書いちゃってください。持ちネタですから。」と笑っていました。