先週末の呉座勇一さんとの配信では、話の枕のつもりだった「コロンブス」炎上が、目下の歴史学の問題点を考える上でも大事なトピックになった。

ぼくは普段、ネタが旬でなくなった後もたどれるようにリンクを貼るのだけど、この話題はどのサイトを選べばいいのかわかんないくらい炎上しすぎて、疲れてしまう。いちばん「批評性」を感じたNoteの記事を挙げておくので、それで勘弁してください。

興味深いのは、当初はいまの基準でNGなミュージックビデオを作ってしまったバンドの側が炎上したのに、後から話題に食いついて蘊蓄を垂れ流し「人文系博士を雇っておくと、一回見ただけでもこれくらいのことは言えるので、大企業は雇ってみてはどうでしょうか?」と発言した人文学者(筑波大学助教)も同様に炎上したことだ。

こちらもすでに語り尽くされてお腹いっぱいなので、あまり指摘されなかったことを書いておこう。ご本人のプロフィールによると、その方は南カリフォルニア大で映画学・メディア研究のPh.Dを取られているらしい。

元々のビデオは、コロンブスとナポレオンとベートーベン(に扮したバンドメンバー)が、離島に生き残っていた類人猿を見つけて「文明を教える」というコンセプトが、悪しき欧米中心主義だとして批判を招いた。

そういう「コロンブスしぐさ」はよくないよね、とは自分も思うんだけど、首をつっこんで炎上した助教氏はたぶん、米国の最先端の教養に基づき水準の低い日本人を政治的に導く「マッカーサーしぐさ」は、コロンブスとは違って、いいものなんだと素朴に信じていたんだと思う。

……同じでしょ(笑)。