――超能力、心霊現象、UFO、など、いわゆる「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が知られざる奇妙なインシデントを解説!
今や世界各地から毎日のように目撃報告が寄せられるUFOであるが、実はその目撃は人類の歴史とともに、古代から連綿と続いてきた。UFOのような図形は、旧石器時代に描かれたスペインのアルタミラの洞窟の壁画にも描かれているし、文書記録としては紀元前1440年頃、古代エジプトのファラオ、トトメス3世の時代に、太陽より明るい火の輪が何日も続けて現れ、やがて空へのぼっていったというものがある。以来歴史文書には、UFOらしき物体についての記録が数え切れないほど残されており、目撃者として名を挙げられた人物には、世界史の教科書に必ず登場する偉人たちや、歴史に名を残す偉大な君主たちも何人か含まれている。今回は、学校の授業が絶対教えない、大王たちのUFO目撃をいくつか紹介しよう。
■アレクサンドロス大王とUFO
古代マケドニアのアレクサンドロス大王ことアレクサンドロス3世(紀元前356~323)といえば、20歳で父フィリッポス2世の後を継いで即位した後、東方に遠征し、たちまちのうちに当時の大国ペルシャを滅ぼし、齢30前にして西はギリシャから東はインド国境まで、つまり、当時のギリシャ人の認識にあった世界の大部分を征服した歴史上最大の英雄である。戦闘においては負けることを知らず、その支配地においては東西文化の融合を進め、ヘレニズム文化と呼ばれる独特の文化を生み出した。
そのアレクサンドロスがUFOを目撃したのは、紀元前329年のことだ。
時期としては、ペルシャ帝国滅亡後さらに東方に軍を進め、ヤクサルテス川、現在で言えば、カザフスタンやウズベキスタンを流れるシルダリア川で、スキタイ人と戦っている最中のことだ。この時、川の北岸に陣取るスキタイ人の攻撃を受けた大王は、討伐のため渡河を決意した。ところが大王の軍が渡河を始めると、上空に奇妙な飛行物体が現れた。物体は銀の楯のような形で、周辺が炎に包まれていたと伝えられる。大王の時代、つまり古代ギリシャ時代の楯は円形をしていたから、円形の光る物体ということだろう。まさしく現代のUFOのような形である。
この現象を不吉な前兆と受け取ったマケドニア軍は渡河を翌日に延期したが、渡河後は見事にスキタイ軍を打ち破り、さらに東方へと進軍した。
ちなみにアレクサンドロスはこれより3年前の紀元前332年、地中海沿岸の都市国家ティールを攻略中に「巨大な海の怪物」なるものも目撃している。つまり、UMAとUFOの両方を目撃したという、この意味でも古来稀な大人物なのだ。そのせいか中世になると、アレクサンドロスが空を飛んだり海の底に潜ったりする、今でいうSFの元祖のような冒険物語も数多く作られた。