・河野氏は、太平洋も含む「組織改編」があった場合を想定して、日本のNATO加盟があり得ると言っており、産経の記事はミスリードだ。

中央の河野発言は、東野氏の文章のママ

ということである。

えっ、そこなの? 名前の問題?(笑)

国際政治学では、よく「bilateral(二国間)かmultilateral(多国間)か」という議論をする。現状でわが国の安全保障を担う、日米安保はbilateral な同盟で、現在32か国が加盟するNATOは、multilateral な制度である。

bilateral な日米安保は、日本とアメリカという二か国だけの取り決めだ。結果として、世界的に見ても特殊な内容だと指摘され、だから日本は「対米従属」なのだと、批判されたりすることもある(その当否は措いておく)。

対して、もしNATOのようなmultilateral な同盟に日本が入るなら、そうした日米安保の特殊性は、かなり払拭される。しかし、まさにウクライナ戦争で焦点となったように、NATOの加盟国には集団防衛の義務があるから、一か国でも攻撃されたら、他の国はその国を守らなければならない。

組織改編で名前が「北大西洋・太平洋条約機構」に変わったところで、もしその新NATOに日本が加わるなら、たとえば欧州の加盟国にロシアが侵攻した場合、自衛隊を派兵して防衛することになる。つまりは、有事にフルスペックの集団的自衛権を行使することが、加盟の前提となる。

……と書くと湧いてくるのが、「国際政治学のセンモンカである東野先生が、そんなことを知らないはずがない」といったファンネルだが、専門なんてどうでもいい。現に東野氏自身、同記事では「オタク」を名乗っている。