ブランデンブルク州議会では、ショルツ政権の行方を左右する選挙と受け取られた。もう少し厳密にいえば、ショルツ首相の首がかかっていた。東部3州議会選で敗北するならば、SPDは「ショルツ首相では選挙に勝てない」ということで、ショルツ首相落としが本格的に始まるだろうと予想されていた。その意味で、有権者200万人のブランデンブルク州議会選とはいえ、SPDが第1党となったことでSPDだけではなく、ショルツ首相個人にとっても朗報だ。

ところで、ボイトケ州首相のSPDがなぜAfDを破り第1党を堅持することができたかを見てみる必要がある。投票2日前、ボイトケ州首相は「SPDがAfDに敗れて第2党となれば、私は辞任する」と表明し、州国民に「私の政権を維持させたいか、どうか」の最後通告を発している。同州を11年間担当してきたボイトケ州首相は人気のある政治家だ。州の経済もドイツ東部ではトップだ。オーストリア国営放送のドイツ特派員は「ブランデンブルク州議会選はボイトケ首相の過去11年間の政治への信任投票だ」と述べていた。同州のSPDの選挙ポスターには、「ボイトケを望むならSPDに投票を」と書かれていた。

興味深い点は、ボイトケ首相は連邦政治で批判に晒されているショルツ首相の選挙応援を断っていたことだ。ボイトケ首相は連邦SPDとの距離を置いてきた。「暖房法案に反対」「農業補助金削減に反対」「市民給付の増額に反対」「大麻の合法化に反対」といったように、ショルツ政権の政策に対して批判的な立場を取ってきた。ボイトケ首相の勝利が決まった22日、ショルツ首相はニューヨークで国連主催の「未来サミット」に参加していた。ボイトケ首相は電話で選挙の結果を報告したというが、詳細な内容は明らかにしていない。

第1党を維持したボイトケ首相は「州を極右政党に委ねることは絶対にできないから、全力を投入してきた。ただ、AfDが州国民の3割の支持を得ていることを深刻に受け取らなければならない」と語っている。