ニタリクジラは北緯40度と南緯40度にわたる水温20℃以上の海に広く分布していますが、ビオトワングを発していたのはマリアナ諸島にいた9頭のみでした。

このことから、ビオトワングのような独特な鳴き声はニタリクジラの中でも、マリアナ海溝付近に分布する集団に特有のものであることが推定されました。

アレン氏も「10頭中1〜2頭の鳴き声だけがビオトワングと一致すれば、それは偶然の可能性がありますが、9頭となるとビオトワングはニタリクジラの鳴き声と見てほぼ間違いない」と話しています。

画像
Credit: canva

しかし一方で、これまでの研究ではまだマリアナ海溝付近のニタリクジラの集団が固有の音(ビオトワング)を発する理由については明らかにされていません。

アレン氏は「ニタリクジラはお互いの位置を特定するためにビオトワングを使っている可能性がありますが、それを証明するにはさらなる調査が必要です」と話します。

やはりこの事件の裏には、まだ明らかにすべき謎が隠されているようです。

マリアナ海溝に特有の海洋環境がビオトワングのような鳴き声を発達させたのか、それともマリアナ海溝の奥底に眠る”何か”と交信するためにニタリクジラの集団が独特な鳴き声を出しているのか…

広大な海には私たちの知らない秘密がごまんと隠されているのでしょう。

エベレストをひっくり返した深さ!水深8336mで「世界で最も深い海に生きる魚」を発見!

全ての画像を見る

参考文献

Hey, Google: Find this New Whale Sound
https://www.fisheries.noaa.gov/feature-story/hey-google-find-new-whale-sound

Creepy ‘biotwang’ noises coming from the Mariana Trench finally explained after 10 years
https://www.livescience.com/animals/whales/mysterious-sound-coming-from-the-mariana-trench-has-finally-been-explained