UFOの存在が初めて公式に認知されたのは、1947年に米国・ワシントン州で発生した「ケネス・アーノルド事件」である。その日以来、現在に至るまでUFOは世界各地の空を席巻し、いまだ世間を騒がせ続けている。そこで、事件の起きた6月24日は「国際UFO記念日」とされている。しかし実際には、「ケネス・アーノルド事件」よりも遥か昔から、空に奇妙な飛行物体が目撃されたとの記録は多数存在しているのだ。

■世界中に残る、UFO伝承

 それらのうち世界最古の記録は、紀元前15世紀のエジプトのものであるが、他にも『旧約聖書』でモーセたちを導いた「火の柱」や「煙の柱」が、実は異星人が乗ったUFOであるとする説、イエス・キリストの生誕時に現れた「ベツレヘムの星」もUFOであったとする説がある。

 また、中世フランスには「空中にマゴニアと呼ぶ領域が浮いている」という伝承があり、9世紀には、マゴニアと地上を結ぶ空飛ぶ船から落ちてきた人物が捕らえられたとの記録も残っている。それだけではない。『ガリバー旅行記』に登場するラピュタは「巨大な円盤」そのものであるし、イタリア・フィレンツェにあるヴェッキオ宮殿の聖母画や、ルーマニアのシギショアラの教会の壁画にも、UFOとしか思えないような謎の物体が描かれている。

 そして日本に目を向ければ、『竹取物語』の主人公・かぐや姫は、まさに月から地球を訪れた月人であるとも言えるし、終幕で現れる光り輝く雲もUFOを思わせるものだ。また、『浦島太郎』に登場する亀も、その形が円盤を連想させるし、龍宮城で数日過ごした浦島太郎が地上に戻ると既に数百年が経過していたという件は、アインシュタインの相対性理論による時間の遅延そのものとする説さえある。このようにUFOとの関わりを暗示する要素は、世界各地の伝承や文物の中に見られるのだ。

 さて、中東の国サウジアラビアにも、UFOを想起させる物体が登場する、非常に奇妙な民話が伝えられている。今回はこの民話のあらすじを紹介しよう。