フランスのミシェル・バルニエ首相は土曜日の夜になってようやく閣僚名簿を発表した。左派からは、はぐれガラス的な一本釣りがあっただけで、ほとんど入閣がなく、マクロン大統領派と穏健保守の共和党からなる軽量内閣となり、常に不信任の危険にさらされそうである。
注目の内相ポストには対イスラム・移民強硬派のブルーノ・ルタイヨーが任命された。
外相のジャン=ノエル・バローはこれまでヨーロッパ担当相でマクロン大統領が外交の主導権を保持するための人事とみられる。国防相はセバスチャン・ルコルニュの留任。
フランスでは、総選挙で左派の新人民戦線NFPが首位、マリーヌ・ルペン党首の極右RNが2位、マクロン派のアンサンブルが3位、旧ドゴール派である共和党が4位で、誰も過半数には遠く及ばないという宙ぶらりん状態になっていた。
首相を任命するのは大統領権限だが、議会はそれを不信任できる制度の下で、新首相を任命できず二ヶ月が経過していたが、ようやく、ブレクジット交渉のEU責任者であったベテラン政治家で、共和党に属するミシェル・バルニエ元外相(RN)を、マクロン大統領が指名して決着が一応ついた。
左派はパリ市幹部のリュシー・カステ(37)の任命が憲政の常道に適っているとして固執しゼネストなど呼びかけたが、極右RNは好意的であるので、なんとか船出できそうなようすだ。
新首相のバルニエは、フランスでより英国で知名度が高いといわれるほどで、ブレクジット交渉を通じてEU各国の意見をまとめながらジョンソン英首相と交渉するという難しい仕事をやり遂げたことでヨーロッパでは絶大な信頼を勝ち得ている。
しかし、極右RNが反対しないのは、ひとつには、バルニエがすべての党派の意見に耳を傾けるという姿勢で、RNへの敵対的態度が控えめであるからだが、それ以上に年齢がゆえである。