外国籍労働者の雇用が増加するなか、日本人従業員とのコミュニケーションには言語の壁があります。
三菱電機株式会社(以下、三菱電機)は、工場での朝礼などで多言語を同時表示することにより正確な内容を伝達できるシステム「翻訳サイネージ」のコンセプトを創出、プロトタイプを開発しました。
外国籍労働者とのコミュニケーションが課題
三菱電機が開発した「翻訳サイネージ」は、日本語で作成した伝達内容の原稿を事前に最大17言語に翻訳。それらの翻訳文章を朝礼時に大画面のサイネージで同時表示するシステムです。
朝礼前に作成した原稿を当該システムで翻訳すれば、スマートフォンを用いて、手元での伝達項目の確認やサイネージの遠隔操作が可能。サイネージ画面を確認することなく、多言語での朝礼を行うことができるとのこと。
生産現場での外国籍従業員との円滑なコミュニケーションを実現し、生産ロスや品質低下・教育時間増大などの解決を目指すそうです。
短時間で正確な翻訳を作成する機能が搭載
「翻訳サイネージ」には、生産工場での独自の言語や多様な言語に配慮したさまざまな機能が搭載されています。
外国語に翻訳した原稿を日本語に再翻訳する「折り返し翻訳」機能や生産現場に特化した用語をあらかじめ登録できる「翻訳辞書・音声認識辞書」機能を活用し、翻訳精度の向上が見込まれるとのこと。
また、正しく翻訳できるように推敲した英訳用の日本語原稿を、ポルトガル語やタガログ語など他の言語への翻訳用原稿として流用する「多言語翻訳一括作成」機能も搭載。これにより、多言語への翻訳作業効率化が見込めるそうです。
91%の外国籍従業員が効果を実感
開発において、同社群馬工場で実証実験を実施。
「翻訳サイネージ」を活用した朝礼時の様子の観察のほかに、班長やリーダー・外国籍従業員へのヒアリングを行ったそうです。
その結果、外国籍従業員の91%が「朝礼が分かりやすくなった」と回答しており、品質向上に加えモチベーションの向上にもつながったといいます。