建設業では人手不足や高年齢化に加え、デジタル化の遅れが問題となっている。そんななか、アメリカのTrunk Toolsが開発しているのは、AIなどのデジタル技術を活用して建設業をサポートするサービスだ。

Image Credits: Trunk Tools

2021年、同社を設立したのはSarah Buchner博士である。

オーストラリアの小さな村で育ったBuchner氏は12歳から大工として働き始め、その後ゼネコンでプロジェクトマネージャーから部門リーダーへ昇進、ヨーロッパ全体で主要なプロジェクトを率いた経歴を持つ。建設業での仕事を続けながらも学問の道も探求し、土木工学とデータサイエンスの博士号、スタンフォード大学大学院ビジネススクールでMBAを取得した。

建設業界での現場経験と学術的専門知識への理解が、同社の製品開発の根幹を成しているのだ。

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膨大な書類をAIが読み取り、質問に回答するTrunkText

同社が提供するサービスの一つであるTrunkTextは、建設作業員が質問を投げれば、AIが数秒で適切な回答を迅速に返すというもの。特徴は3つ挙げられる。

1つ目は利用のしやすさだ。建設ソフトウェアの多くはデスクトップのPCで利用されるが、TrunkTextはスマートフォンからショートメッセージでテキストを送信すれば数秒で回答を受け取れる。そのため、作業員は現場を離れることなく欲しい情報にアクセスできるのだ。


2つ目は精度の高さである。ChatGPTのような汎用的なAIツールだと建設における専門知識や特定のプロジェクト固有の情報を持っていないが、TrunkTextはプロジェクト固有に構築されており、組織内の文書すべてにアクセスが可能だ。そのため、仕様書、RFI、スケジュール、など、何百万ページもの文書の情報から検索をかけて回答を得ることができる。