図2(法人企業統計)

Q. では内部留保は何に使われてるんでしょうか?

法人企業統計は配当と役員報酬以外をまとめて「内部留保」と分類しているので、経済全体では550兆円と大きいようにみえますが、大部分は図3で「その他固定投資」となっている項目です。

図3(門間一夫氏)

これは実際にはほとんどが海外法人の「外部留保」で、2010年代に黒田日銀のゼロ金利による産業空洞化で大幅に増えました。

Q. 内部留保を従業員に分配して賃金を上げろと共産党はいってますが?

利益剰余金は、賃金を払ったあとの利益ですから、そこからさらに賃金を払うのは賃金の二重取りです。これは株主の資産ですから、「もっと配当しろ」とか「自社株買いしろ」というなら筋は通ります。

Q. 内部留保に課税するってどういう意味ですか?

図1でもわかるように、内部留保(利益準備金)は負債の内訳なので、借金に課税することはありえません。法人税は税引き後利益から払う配当に所得税をかける二重課税なので、内部留保課税は三重課税になります。

Q. 内部留保に問題はないんですか?

日本の企業の利益剰余金の半分近くが、預金として保有されていることには問題があります。これが日本経済の活力を失わせる貯蓄超過です。そもそも企業はお金を借りて投資するのが仕事なんですから、預金が200兆円以上もあるなんておかしい。

Q. なぜ企業が貯蓄するんですか?

その最大の原因は有望な投資機会がないからです。これが「デフレのせいだ」というのは因果関係が逆で、企業の資金需要が減るために貸出金利が下がり、ゼロに貼りついてデフレになるのです。それは国内市場が縮小し、法人税が高く、雇用規制がきびしいからです。

Q. 日本の会社はどうすればいいんですか?

日本の会社の問題は「内部留保」を労働者に分配しないことではなく、国内投資に回さないことです。これが投資として使われるようになれば、それは企業の収益も上がり、賃金も上がるでしょう。

Q. 政府は何をすればいいんですか?