すべてを手放し解脱を成し遂げた聖者なのか。それとも精神障害を抱えたホームレスなのか。ヒンドゥー教の聖地には“帽子の母”ことトピ・アンマが街を徘徊しており、彼女を目撃した者の見解を二分しているという。
■トピ・アンマは聖者かホームレスか?
インド南部のタミル・ナードゥ州にある都市、ティルヴァンナーマライ(Tiruvannamalai)はヒンドゥー教の神、シヴァ神にゆかりのある土地として巡礼者も多く訪れる聖地である。ちなみにこの街では飲酒も肉食も厳格に禁じられている。
このティルヴァンナーマライの路上をさすらう“有名人”が話題だ。
ネパールの帽子であるトピ(Topi)を被ったこの中年女性は、「帽子の母」という意味で「トピ・アンマ(Topi Amma)」呼ばれ、一部の人々から崇拝の対象とされている。信奉者は彼女が完璧な悟りを開いた存在である「シッダ(siddha)」であるというのだ。
信奉者はトピ・アンマを路上で見かけると、彼女に食べ物などの施しと共に祈りを捧げている。彼女が落としたドリンクのカップを拾いその飲み残しを「プラサード」(祝福された供物)として分かち合う信奉者もいる。また彼女の姿をスマホで撮影し、SNSに投稿している信奉者も少なくないようだ。
「ティルヴァンナーマライでトピ・アンマと一緒に歩くことができてとても幸運でした」と「Oracle ACEディレクター」であるサイ・ペヌムル氏は、みすぼらしい汚れた服を着たトピ・アンマの写真をXに投稿している。
あるYouTube動画では、彼女を「啓発された母親」と呼び崇拝の対象として扱い「このビデオでは、私たちはトピ・アンマの人生と教えを深く掘り下げ、彼女の深い精神的知恵と、彼女に出会う幸運な人々に彼女が与える変革的な影響に光を当てます」との説明が記されている。
トピ・アンマの生い立ちと彼女がどのようにしてティルヴァンナーマライに来たのかは謎に包まれている。加えて彼女がどのようにして神秘主義者として崇拝されるようになったのかも不明である。
トピ・アンマはシヴァ神ゆかりの神聖な丘、アルナーチャラム・クシェートラの周りをさまよっている姿がよく見られ「聖地の3人の生きているシッダの1人」だと主張している信奉者もいるということだ。