0.1mmの動きを検知する超高感度GPSセンサーが必要になる
今回の研究の問題点、それは前兆となる「ゆっくりとした滑り」による位置変化が「数ミリ」と極めて小さいことです。
現在のGPSの精度はスマートホンで3mで、専門の測量用機械でも2cmほどとなっており、単独で数ミリの揺れを検知することはできません。
今回の研究では3000カ所という多数のGPS観測所のデータを統計的に処理することで、数ミリの動きを特定しました。
つまり不足しているGPSの精度を、複数の観測地点のデータを組合わせることで、なんとか補ったわけです。
そのため未来の大地震を予測するには、現在のGPS精度を上回るセンサーを震源地の上に設置する必要があります。
最低でも「1mm」の動き、理想を言えば「0.1mm」の動きを測定できるGPSセンサーがあれば、前兆を検知することができるでしょう。
この数値は理論的にも達成可能です。
ただ全国規模の予測システムを構築するには、大地震が予測される全ての震源地にGPSセンサーを配置する必要があります。
特に海に囲まれた国では、震源地は海底になる場合もあるため、設置場所は陸海を含む多数に及ぶと考えられます。
研究者たちは今後、震源地になりそうな場所に高精度GPSセンサーを設置して、前兆信号がリアルタイムで観測できるかを確認していきたいと述べています。
参考文献
Global GPS measurements indicate observable phase of fault slip two hours before large earthquakes
元論文
The precursory phase of large earthquakes